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第5章ー05 閻魔大王の心の内
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「まったく。あいつはっ」
吐き捨てるように携帯をテーブルに投げ出す澤井を見て、書類を整理していた天沼は、顔を上げる。
何か言葉をかけてもいいものかどうか迷ったのだ。
これは、結構プライベートの話題だ。
多少、迷ったが、天沼は思い切って口を開いた。
「保住室長のお加減はいかがでしたか」
「熱中症というより疲労だろう。悪いクセだ。田口に任せてあるのに。あの男も当てにならないということだ」
「田口に?……ですか……」
「どいつもこいつも」
澤井が苛立っている理由がよく分からない。
保住が体調不良になったのが、何故こんなにも彼を苛立たせるのか。
天沼はよく分からない。
ここ数か月。
近くで時間を共にして、保住という男が澤井にとって特別であるということはよく分かった。
彼の能力を買っている割に、言葉や態度は捻くれている。
だが、確実にこの庁内で一番信頼している人間だということが認識できた。
できふのだが……保住と田口と澤井の関係性は、よく分からない。
田口が澤井と、どういう関係性なのかも分からない。
ただ、こうして澤井は、田口に保住を託しているという話をする。
どういうことなのだ。
謎。
常識的に考えたら、三人の関係は不可思議で理解ができない。
そう思う。
ただ一つ分かること。
それは、今回の件。
心配しているのかな?
保住が休みだと聞いてから、澤井の機嫌がすこぶる悪いのは、きっと心配なのだろうな。
そう思ったのだ。
だって、こうして時間もない中で彼に連絡を入れるのだ。
苦情紛いの内容だけど、心配そうな声色は隠し切れていないじゃないかと思う。
間違いない。
親みたい。
親が子供の心配をしているような……。
それとも、恋人か。
まさかね。
友人?
そんなことを考えていると、扉がノックされた。
「市制100周年記念事業推進室の田口と安齋です」
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