アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
5
-
困らせてるよな、と申し訳なさ気に見上げれば、頭を撫でて微笑んだゼロが自分の指を銜えた。そういえばあの時も唾液で濡らしてた、なんてぼんやりとした記憶を起こす。
──あ……お礼言ってない
つられて出てきた記憶にあっと思い、くちゅっと小さくした音に意識を彼へ戻した。
「力抜いてろよ」
「ん……」
口を開く前に濡れた指を宛がわれ、息を吐いて身体の力を抜く。指の腹で襞に塗り込む動きがむずむずとして、次第にそこが息づき始めた。
「……動いた」
「へ……ぁ、あ……っ」
呟いたゼロの声に反応をするも、緩んだところへ指が入り込んだ。異物感に背筋が震え、きゅっと締め付ける。それを焦らずゆっくりと抜き差しを繰り返し、徐々に本数を増やしていく。
時間をかけて広げられてる内に少しだけ力が抜け、ゼロは感じる場所を探して愛撫を施す。
「はっ、ん……ぅん、ふ……ぅっ」
「痛くねぇ?」
「ぃた、く……ない、けど……ぁ、変な、感じ……」
「じゃあ……ここは」
「っ!? ふ、ぁあっ」
ぐるっと回した指先に固い感触が当たり、コリコリとくすぐると一際高い嬌声が上がった。鈴の性感帯を見付けたゼロが緩ませるためにそこばかりを狙って擦るので、喘ぐ声しか出てこない。
乱れる姿で高揚する気分に唇を舐めるゼロの仕種を偶然目に留めた鈴は、ドキっとしつつ無意識に口を動かしていた。
「ん……、あの、時は、ありが、と……っ」
「あの時?」
「あ、そこ、切れてたの、治して……くれただろ……? ん、だ……から、ぁ、嬉し、くて…ずっと、お礼が……言いたかった」
“あの時”がピンとこず指を動かしたまま首を傾げた彼に答え、小さく微笑む。
ゼロの唾液は怪我を治せる。あの時、既に矢崎のもので濡れていたから、指に絡ませた唾液は切れた傷を治すため。
もっと喜んで欲しい、優しさが嬉しかった気持ちが少しでも伝われば良い、と思って言ったそれは、予想以上に効果を発揮したようで。
「ヤバい……」
「うん……?」
「んな可愛い事言われたら、もう我慢できねぇ」
困ったように眉間にシワを寄せつつ熱っぽい瞳で見つめてくるゼロ。まるでおあずけをされた犬みたいで、こんな時なのに笑ってしまう。
「俺も、我慢できない……」
怖さより勝る愛しさ。
痛かった事など忘れ、腕に触れて願いを告げると、困り顔が笑顔へと変わった。ゆっくり指を抜き、上体を起こしたゼロがTシャツを床に脱ぎ捨てる。
細身でも筋肉で引き締まった身体。同じ男としては憧れるんだろう、狼のような体躯に。
「どした?」
「あ、いや……何でも……」
まさか身体に見惚れていたなんて言えず、気付いたゼロの問いを慌てて誤魔化す。しかし、それも分かっていたのか、ニヤニヤ笑って再び横になる彼が汗で張り付く前髪を梳いて顔を覗いてきた。
「鈴も触って良いんだぜ?」
「こ、断るっ」
「ちぇ、残念」
真っ赤な顔で首を横に振ると、肩を竦めておどけてみせる。
本当は触ってみたいけど、そんな余裕ない。
じっと見つめる鈴の唇にキスを落とし、触れそうな距離で囁く。
「後ろからの方が鈴の負担は少ねぇんだけど、どうしたい?」
「……顔が見えないのは、嫌だ」
「ん、俺も」
目の前の彼に腕を回してしがみつけば、笑った吐息で空気が揺れる。優しく足を広げられ、そっと宛がわれるゼロの熱。
「ゆっくり、な」
小さく跳ねた肩に口付け、言葉通りゆっくり鈴の中へ挿入していく。
ゼロが丁寧に解したお陰で痛みはないものの、始めの挿入の感覚と圧迫感は鈴の意思とは反対に息が詰まり、そのせいで身体に余計な力が入ってしまう。
──どうしよう……呼吸の仕方、忘れたみたい……
頭では分かっているのに身体がついてこない鈴の唇に、不意に親指が当てられた。
「鈴……落ち着いてゆっくり呼吸……そう、大丈夫…良い子だ」
固く閉ざした唇を撫でて緩める感触と落ち着いた声に促され、額に落ちた優しいキスで安心したのか自然と呼吸ができると身体の力も抜けてくる。無理矢理動かないでいてくれた彼に「有難う」と伝えると、「俺もありがとな」と笑った。
くすぐったい気分でどちらともなく顔を寄せてキスを交わしながら、ゼロが腰を揺らして中を擦る。始めは浅く、徐々に深く激しいものへと変わり、柔らかくなったそこがきゅっと熱を締め付けて。
ああ、ゼロと繋がっているんだ、なんて頭の隅で思う。
心地好いのに、甘く切ない痛み。
ゼロに満たされて、果てたまま溶けてしまいたい。
「ぁ、はっ……も……イか……せて、ゼロ……っ」
ビクビクと震える熱が解放を求め、自分では持て余す気持ちで肩に爪を立てて縋り付く。無意識の動作に小さく笑い、「おう」と返事をして強く鈴の身体を抱き締めるゼロ。
彼が揺らす度にお腹で熱が擦れ、扱く手と相まって先に果てた。息を詰めると身体の強張りで締め付けてしまい、一気に奥が熱くなって。中に注がれる感覚がして、彼もイけた事に安堵する。
「……何、笑ってんだ?」
安堵が顔に出ていたらしく、微笑む鈴の顔を覗いたゼロも笑って問う。
この流れる空気が更にくすぐったいな、なんて考えたらますます頬が緩み、くしゃっと目の前の黒髪に指を絡める。
「教えない」
「えー。ここまできて内緒かよ」
「そう、内緒だ。子供みたいな事思っただけだから」
気持ち良くさせられて良かった、って。
感じてるのは俺だけだと思っていたから。
人差し指を口元に当てる鈴の様子に、それを素直に言うつもりのないことを感じ取ったゼロがむぅっと口を尖らせつつ、中から熱を抜き出し横に寝転がった。それから促すように枕を退かした場所に伸ばされたゼロの腕へ自然と頭を乗せると、そのまま肩口へ抱き寄せられる。
トクン、トクンと規則正しく響く鼓動が眠気を誘う。次第に瞼が重くなり、微睡む意識の中で鈴は、彼の胸に顔を埋めて名前を呼んだ。
「……ゼロ」
「ん?」
呼ばれて聞き返すも、次に聞こえたのは緩やかな寝息。久しぶりに聞くそれにゼロは笑みを零し、ちゅっと髪にキスを落とした。
「おやすみ、鈴」
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
34 / 65