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6*秘密
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「さ、着きましたよ~。
このお客さんはβだから大丈夫だと思いますけど、もしヤバいと思ったらすぐフロントか店に電話くださいね!いいですか?」
「わかったわかったって~。もう、心配性だなあ。」
α客が用意する高級なホテルではなく一般的なそこに到着し、
車を降りる。
店側に俺が何も言ってないのにここまで心配されるとなると…
きっと、健太君が少し話してくれたんだろうか。
そういうとこ、
本当優しいしデキる男って感じするんだよなあ。
そんなところが――…
「そりゃ心配しますって。
……アイツもきっと、そうします。」
「ん?最後何か言った?ごめん聞こえなかった!」
「あっ、いえ何でも!行ってらしゃい。」
「んっ、行ってきま~す!」
扉を閉めようとしたタイミングで、
あの子が何を言っていたのか。
少し気がかりではあるものの、急がないともう予約の時間がぎりぎりで。
いつもなら車内から俺を見る黒服君に手を振ってから行くんだけど、
今日はちょっとそうする時間もなかった。
ごめんね黒服君!
なんて思いながら自動扉の向こうに足を踏み入れる。
「…っうっ、健太ぁ…僕うまく出来る自信ねぇよぉ……っ。」
一人きりの車の中、
ぽつりと黒服が呟いたそんな言葉は
誰にも届くことなく消えた。
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