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ミツルは首から柔らかなメジャーを下げた 優しい微笑みをたたえる店の 人間に あちこち採寸させられていた。
まるで隣の客と主人らしき人との会話を ミツルに聞かせまいとするように 話しかけてくる。
しかも とりとめのない 天気の話とか 先日あった 大雨の話。
ミツルは隣の部屋の会話に興味はないし 聞こうとも思っていないのに。ちょっと 腹立たしい思いになりかけたとき 田ノ上が現れた。
ミツルは敵地で味方に会ったような気になり 満面の笑顔で たーちゃん と呼んだ。
隣でミツルのからだのサイズを計っている男が 息をのむ気配に気付かないまま ミツルは 田ノ上に駆け寄って抱きつかんばかりに 胸にドンと ぶつかる。
田ノ上は慣れた仕草で 思わずミツルの頭を撫でて から あわてて 咳払いをして
「まだ 計測中か?デザインについては まだ聞いてないな?」
「たーちゃん。俺 去年とおんなじようなもんで良いよ。着ぐるみ ダメなら スーツの背中に クジラとか?それとか かぶりもの をクジラにするとか どう?」
「ダメだよ。ミツル。かぶりもの
も今年はダメって。
まだ 話して無かったけど お前 ピーターパンがいいと思う。
お前の少し小柄な身体に 合うと思うよ。」
「えー?そーかな。たーちゃんは?何するの?」
「俺?俺は 悪者の海賊船の船長か フレディだとお面が必要だから不可かな?あとは チャップリン?だけど大柄なチャップリンはなぁ。みっともないし。」
「たーちゃん。スパイダーマン とか バットマン とか スーパーマン。いや 亀印のついた 孫悟空は?スーパーサイヤ人とか。たーちゃん格好いいから 何でも似合うよきっと。」
「ミツル ゴマ擦っても なんも出ないぞ。」
「ゴマすりじゃないよ。」
2人で笑い合って ワイワイ言いながら 採寸して 結局ミツルはピーターパン。田ノ上は 色々迷ったようだが スターウォーズの ダースベイダーっぽいものにすると決まった。
ただダースベイダーはかぶりものになるので 顔ははっきり見えるような透明アクリルになるようだが 例のあの空気漏れみたいな感じにするため 防毒マスクを改造して マイクを仕込み 声を変えるようにした。
俺はあのお馴染みの緑の上に 茶色いスパッツ。と同色のとんがりブーツ。とんがりブーツは 厚手のフェルトで このテーラーで作ってくれることになった。
もちろん帽子も小道具のナイフも。
上衣はあまり短いと 股間が 目立つので 長めにしてもらった。
季節は10月末。暖かいか 寒いかわからない。
コートは何にしようかな。
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