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7. 2
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「どうして?」
「そのドアが怖かった…死神はその先に何が
待っているのか、何も教えてくれなかったし…
過去を忘れるのもやだった…。
でも、逃げたって言葉は正解か分からない
本当の意味で俺たちは逃げる事なんてできない
もしかしたらある程度選択する余地が
与えられてるのか…
単に気まぐれで放置されたか…
分からないまま、今の状態になったけど
アイツらはその気になれば何時だって
俺たちをあの部屋へ連れていく事ができるんだ
昨日気づいたよ」
「全部捨てたくて死ぬことを選んだんじゃないの?
それなのに忘れたくなかったの?」
ユイの目から涙が溢れだした。
延々と止めどなく。
「…ゴメン、ユイ」
ゆっくり首を振るけれど、涙は止まらない。
「俺、昔この高校に通ってたんだ。
美術の先生を好きになって、先生も
俺を好きだって言ってくれた。
先生は既婚者だったけど偽装結婚だって
本当に好きなのは俺だって…」
「それって…まさか相手は…」
「…うん…男の人」
言葉が出なかった。俺は ただ眉を寄せた。
「高校を卒業してやっと教師と生徒じゃ
なくなったって思ったのに、先生はそう思って
くれなかった。
先生は少しずつ俺から距離をおいて、最後は
さよならも言わないで連絡がとれなくなった」
「ひどいな…」
「ね、俺ずっと不安定でさ…
ゲイになってしまった事だって、誰にも相談
できなくて毎日ハゲそうなほど悩んでた
支えてくれるのは先生だけだったのに
捨てられるって思ったら、頭メチャクチャで…
先生の家を調べてピンポン押しちゃった」
ユイが泣き笑いで言った。
ハンカチでも貸してやりたかったけど
ユイの涙は頬をつたって、床に落ちる前に
消えていく。
「奥さんに全部ぶちまけてやったんだ
学校で何度も先生に犯されたって。ド修羅場。
そしたら先生何て言ったと思う?」
俺は首を振った。
「コイツ、頭おかしいんだっ…て」
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