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彼とは、おばあちゃんの家に遊びに行った時に出逢った。
夏の うだるような暑さは、広大なひまわり畑を持つおばあちゃんの家も一緒で、幼いおれは涼しさを求めて小さな小川に出掛けた。
「真矢!遠くには行かないのよ?」
「だいじょうぶ!」
小川に足を浸して、タニシを拾ったりして遊んだ。
ひぐらしが鳴いて、帰らなきゃって思った。
どうせなら、ひまわり畑を通って帰ろう。
濡れた足をそのままサンダルに引っ掛けて、お気に入りの畑に入った。
背の高いひまわりから見下ろされながら歩くと、別世界に来たみたいで楽しかったのだ。
麦わら帽子のあご紐をパチンと言わせながら、真矢はご機嫌で夕陽に赤く輝いたひまわりを見上げると、それはとても美しかった。
「あ!」
地面のデコボコに足をとられて、顔から転んだ。
痛くてわんわん泣いていたら、晃が助けてくれたのだ。
今なら分かる。
その瞬間に、おれは恋に落ちた。
『梅木さん、梅木さん。診察します。』
・・・ああ、遠くで声が聞こえる。
真矢は、夢にしがみついた。
『酷い熱だ!点滴は?!』
・・・痛いのは、嫌だ。
「大丈夫?」
「・・・痛いよぉ。」
転んだ時に打ち付けた額を、優しく摩ってくれたお兄ちゃんは、おれを抱き上げて小川まで連れて行ってくれた。
「土だけ落とそうね?」
「うん。」
お姫様みたいに抱っこされて、足がゆらゆらと揺れる。見上げるとお兄ちゃんの顔がすぐ近くにあって、なんだかドキドキした。
「この辺じゃ見ない子だね。どこの子?」
綺麗なハンカチで顔を拭いてくれて、胸がギュッってなった。
ああ、晃さん。
顔をもっと見せて・・・。
子どもの頃の自分と、今の自分が重なっていく。
夢が終わるんだと、うっすら思った。
『梅木さん、梅木さん。』
いや、このままでいさせて。
『ちょっとチクッとしますよ。』
いやだ、やめて。
お兄ちゃん!
晃さんの体がボヤけていく。
『お腹触りますからね。』
いや!やめて!
晃さん、助けて!
「真矢?!」
「・・・晃さん!」
夢と現実で名前を呼ばれて、真矢はびっくりして飛び起きた。
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