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「どうも梅木さんの様子が変です。」
研究室で検体を刻んだ瞬間に、坂上は監視員から告げられた。
「えっと、・・・たしか一か月前に入所した人ですよね。」
24時間体制で監視をする彼から、梅木氏の資料を渡された。
・・・梅木、真矢。
その名前を見た瞬間、鮮明に記憶に残るひとりの女の子を思い出した。
真矢か・・・。
あの子は、元気だろうか。
「酒井D rを探したんですが、見当たらなくて。」
「彼は仮眠中です。」
研究者の自分とは違い、酒井D rはΩ属性の健康を守る為に体を張る医者だ。
彼は夜間に3件の出産に立ち合った。
通常、βの出産は助産婦が取り上げるが、Ωの出産は医師が取り上げる。なぜならΩの出産は母体の死亡率が非常に高いからだ。
常に死と隣り合わせの出産は、D rや政府を悩ませていた。
だから、この母体の生存率を上げる為の特任研究員として、スタッフはβしか雇わないはずの施設に自分は招き入れられた。
「では坂上先生、梅木さんを確認して頂けないですか。」
「わたしがですか?」
監視員から、うろんな目を向けられた。
「お医者様でしょう?」
そりゃそうだけど。
基本診察はしない。
自分はαだ。集められたΩとの接触は、無い約束だった。
だから診察はβである酒井D rか、今日は非番の村田D rがしている。
新鮮なへその緒を手に入れたばかりだし、このまま研究を続けるつもりだったが、出産の立ちあいでヘトヘトになった酒井D rを起こすのも気が引けた。
一応、自分も医師免許は持っているのだ。
診察も、出来なくはない。
「・・・部屋に向かいます。」
後ろ髪を引かれながら、渋々立ち上がった。
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