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坂上は心底驚いた。
Ω属性の彼らの住環境を知らなかった俺も悪かったが、まさか独房のように閉じ込められているとは知りもしなかったからだ。
監視員の手で開けられた重い鉄扉は、逃げられないようにとすぐに背後で鍵を締められた。
狭い部屋に不釣り合いのクイーンサイズのベッド。
そこで小さく丸まった背中を見て、さらにドキリとした。
・・・セックスするための部屋って事か。
改めて、かき集められたΩの扱いを目の当たりにして、坂上は気分が悪かった。
人権って、Ωには無いって事かよ!
部屋には、Ω特有のフェロモンが満ちている。
ここで働く人達は、β属性だ。
だから彼らは気付かないのだろうが、初めて入った個室はαである自分の気持ちを引っ掻く。
なるべく、その甘ったらしく感じる空気を、吸い込まないようにして側に立った。
「梅木さん、大丈夫ですか?梅木さん。」
枕に埋めているため顔は分からないが、呼吸が荒い。
首筋を触ると、火傷しそうな程 発熱していた。
・・・ヤバイ!
慌てて脈をとると、通常よりもかなり早かった。
「んっ・・・うぅ!」
唸るのは、この熱のせいだ。
慌てて持参した診察鞄を手に取った。
「点滴、点滴は?!」
ふたりきりの部屋には、彼が発するフェロモンが満ちている。
そのあまりの濃さにくらくらしてきた。
冷静に。冷静に。
患者を襲うわけにはいかない。
坂上は、震える指で針をセットした。
「梅木さん、ちょっとチクッとしますよ。」
肩を押して、上向きにさせた。
力の抜けた腕はドキリとするほどの白さで、坂上は思わずゴクリと唾を飲み込んだ。
視線を上にあげて、改めて顔を見た。
濡れたような黒い髪が、汗をかいた額にくっついている。
・・・え?
記憶に引っかかる顔に、坂上の心臓は早鐘を打ち出した。
・・・まさか、真矢?
腕に刺した針をテープで固定して、苦しげに眉を寄せる患者の顔をまじまじと見つめた。
・・・間違いない、あの子だ。
まっすぐに俺を見上げて、結婚したいと言った可愛い子は男の子で、更にΩ属性だったらしい。
・・・まさか、ここで再会するなんて。
真矢の心臓とお腹の音を聞くためにシャツをたくし上げた。
濃厚なΩの香りが更にキツく立ち昇って、坂上は眉を顰めた。
セックスが、したい。
この体を抱いて、めちゃくちゃにしてやりたい。
αとしての本能が、そう脳裏で囁きだす。
坂上は頭を振ると、診察をするために真矢の腹に指を伸ばした。
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