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真矢の熱は下がった。
そして、セックスをしたい衝動も徐々に消えていった。
点滴をしてくれたあの日から、晃さんとは逢えていない。
・・・あれは全て夢だったのかも。
安静にするよう申し渡されていた真矢は、ベッドの上から天井のパネルの数を数えることで時間を潰していた。
・・・夢でもいいから、また晃さんに逢いたいな。
と、扉の鍵を開ける音がした。
上半身を起こして入ってきた人を出迎えると、そこには白衣を着たお医者様が立っていた。
「酒井先生、こんにちは。」
「やあ、梅木さん。気分はどうだい?」
にこやかな表情で、挨拶してくれた。
酒井先生は、優しい。
熱を出して以来、頻繁に訪れてくれる。
「怠さはありますが、大丈夫です。」
「高熱だったからね、しばらくはキツイだろう。食事は食べれているかい?」
話しながら、首のリンパ腺や血色を確認していく。
「お腹の音を聞くからね。」
「はい。」
聴診器を順に当てて最後に心臓の音を聞いて終了だ。
「薬は後3日分出すから毎食後に飲むんだよ。」
「有難うございます。」
そのまま片付けて帰ろうとする先生に聞いてみた。
「あの!お医者様は、何人いらっしゃるんですか?」
酒井先生は、にっこりと笑った。
「わたしを含めて3人だよ。後で新人に薬を持ってこさせるからね。」
「酒井先生のお弟子さんですか?」
そう聞くと爆笑された。
「アハハ!弟子か、その響きもいいな。まあ、待ってなさい。」
「はい。」
どんな人なんだろう。
少しでもお話できるかな?
ほんの少しだけ期待してしまう。
その新人さんが、晃さんだったら嬉しい。
晃さんと再会したのは、願望からの夢だったのかもしれない。
でも、ちょっとだけ。
ちょっとだけ、期待したい。
晃さんと、逢いたいな。
大きく息を吐いて、真矢は瞳を閉じた。
新人のお医者さまを待つ間、あの夏の思い出に浸ることにした。
※ ※ ※
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