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「なんだあいつっ…!」
「また消えたぞ!」
レイは国軍を翻弄した。
一人で戦うことに慣れているレイは多数相手にも怯まず、一方国軍はレイの動きについていけない。唯一ついていけるイーリスは本気を出していないためレイの独壇場だった。
「ぐああぁっ!!」
「くそっ…撤退だ!!」
国軍はただ兵士を失い、王宮に戻る羽目になった。
イーリスはレイに手紙を残し他の兵とともに帰っていった。
*
「はー……」
拠点に戻ったレイは大きくため息をついた。
イーリスからの伝言は、事を急いだ方がいい。と一言。
Ωのスパイがバレた以上、それは検討するまでもない事実だった。
「ん……?」
ふと感じた体の違和感。
先程の戦闘で思ったより疲れてしまったのかと考え、レイは体を休めるため、ベッドに入った。
しかし体の違和感は徐々に大きくなってきて、倦怠感がある。熱があるような感じはしないのだが、体が重たい。
「……まさか。」
発情期。
よぎった考えは、すぐに消した。
(だって、ありえない。)
発情期が戻ることがあるとすれば、それは運命遺伝子のαと出会った時だけだと医者に言われた。
運命遺伝子のαがデータベースにいない、既に死んでいるのだろうということも。
だから、レイに発情期は二度と来ない。
きっと、大勢のαの相手をしたせいだ。
レイはそう結論づけた。
稀に、αのフェロモンに悪酔いすることがある。それは発情期とは違うが、同じような倦怠感を感じる人もいると聞いたことがある。
ピピッ、と音がして、レイは目の前に画面を出した。
イーリスからの暗号だ。
瞬時に読み解く。
フツカゴ ヒガノボル ニジカンマエ
クーデター ケッコウ
コクグン チョクセツ ツブセ
ヒノデ ジカン ギョクザ ニテ マツ
イーリスは中から攻めるのだろう。
レイたちが外から。そして日の出の時間、王の首をとる。
「待ってろよ、王サマ。」
イーリスは隊長にもこのことを伝えるべく、ベッドから降りた。
*
「国王陛下、よろしいのですか?」
スパイのΩは、クーデターの情報も吐いた。
協力者がイーリスであることも。
「構わん。新しい毒薬の実験にもなる。全員返り討ちにしてやる。それに、あの男が自ら王宮に出向くのだ。こんないい機会はない。」
王はレイをどうしても手に入れたかった。
優秀な遺伝子を持つ、と外部には報告したが、その実、レイにはとんでもない価値があった。
レイは遺伝子の構成上、αと子を成せば、必ずαが生まれるようになっていた。
さらに、レイの体液には細胞の再生を促す成分が含まれている。
レイさえ手に入れば、国は栄え、そして莫大な富を得る。
「……逃がさないぞ、レイ。」
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