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「ぅーーー、アルトォ、コレ、マズイ」
勢いよく齧り付いた肉をペペッと口から吐き出し、赤褐色の髪をフルフル左右に振ってみせる。
その間から伸びたふわふわの獣耳も、ピルピル震えてへにょっと下がった。
よっぽど口に合わなかったらしい。
「嫌なら食うな」
串に刺さった残りの肉を奪おうとした手が宙を掻く。
「い、嫌とはいってないもーん。
ちゃんと食べるもーん」
これしか食べるものが無いと言うことはわかってるんだな。
そりゃ結構、とため息をついて俺もまともに味付けしていない山鳥に齧り付いた。
暫く、夜の帳が降りた森の中でパチパチ爆ぜる焚き火と咀嚼の音しかしなくなる。
つい、三時間前まではこんなことになるなんて思っていなかったのに。
ふと、自分の左手にはまった指輪に目をやる。
細身の銀色の地に、ところどころ金色で複雑なデザインが刻まれている。
一見しただけで、純度の高い金属が使われているから売れば一攫千金のアイテム間違いなし、だったのに。
このおバカ獣耳が「コレは、アルトとユアのための指輪だねっ」と俺の指にはめたとたん、縮小してここから外れなくなってしまった謎のアイテムだ。
同じものが、隣でクチャクチャ苦い顔で肉を食んでいる獣人にもついている。
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