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この指輪と一緒に見つけた他のアイテムは、ほぼガラクタ。
たいした金にならず、次のクエストを探しにギルドが運営する食堂に出向いたら見るからに血筋の良さそうな騎士に絡まれ、そこから逃げた先で剣士に絡まれ、宿屋に戻ろうとしたら怪しい集団に待ち構えられていた。
手元にあるのは、さっき換金した残りだけ。
まさか、そのまま町を出るとは思っていなかったので、野宿用のアイテム含め殆ど宿に置きっぱなしだ。
あぁー、せめて調味料が欲しい。
腹には溜まるが、臭みの強い山鳥の肉はクセが強くて連日はキツイ。
「あぅぅ⋯口の中が気持ち悪いよぉ」
獣耳をへにょっとさせたまま、ユアは人差し指の爪を尖らせ地面に何かを書いていく。
炎に照らされ踊るのは、食堂の日替わり定食にケーキ。
今日食べるつもりでいた一食分の食事と、何かの模様。
ユアは、無駄に絵がうまい。
「今日のケーキ、果物いっぱいのタルトだったんだよぉ。
帰るまで残してくれてるかなぁ」
「この騒ぎが、明日になったら終わってると思ってんのか?」
町中を追いかけ回され、森まで逃げたのにまだ追いかけてくるしつこい連中。
いくつかのパーティに分かれていて、互いに連携が取れていないのは不幸中の幸いだ。
一様にこの指輪を寄越せと喚いているから、目的もハッキリしている。
怖いのは、この指を切り落としてぶんどろうとする強引なやり方だ。
どのパーティも交渉の余地がまるで無く、とにかくコレをよこせと迫ってくる。
ユアの指輪は、ふわふわの毛に隠れていて気付かれていないから、全員狙いは俺一本。
クエストで何度も来慣れている森じゃなければ、半時間も逃げ切れなかった。
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