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「颯月様、ですね?」
法制定から2週間後、目の前に現れたのは見覚えのないスーツ姿の男2人。
「…そうですけど…誰ですか?」
学校のない土曜の昼。
リビングでテレビを観ていた俺に、眼鏡の男の人が口を開く。
「私、Ω専用の保護施設12号の担当をしている冴木と申します。本日は、谷野颯月様をお迎えに上がりました。」
「…はい?」
この人達は何を言ってるんだ?
全国で保護施設が作られたことはニュースで見た。
けれどそれは、俺には関係ないことじゃ…
「母さん?」
「ごめんね、颯月…」
玄関へと通じるリビングのドアの前に突っ立っていた母さんが、そう言いながら泣き崩れた。
「…俺、Ωなの?」
16年間、自分をβと信じて生きてきた。
自分はβであると伝えた母さんに問いかけても返答はない。
「はい。颯月様は乳児検診の際にΩ性であることが確認されました。」
代わりに答えたのは冴木さんだ。
テレビから聞こえてくるのは希少性特別保護法の話題ばかり。
数分前まで流すように聞いていたその単語が、母さんの嗚咽だけが響く部屋の中で、一際大きく聞こえた。
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