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気持ち悪い。
頭がガンガンする。
ここ最近で1番の体調の悪さに、頭を抱えるようにコミュニティルームを後にする。
これが発情、なんだろうか。
「発情、って言うよりこれじゃあただの体調不良だろ…」
…風に当たりたい。
確かこの先に小さなルーフバルコニーがあったはずだ。
ふらつく足を必死に動かし、目的地へ向かう。
ドアを開けると、芝生の上にベンチが置かれただけのそこは誰もおらず、夏の始まりを知らせる少しじめっとした風が頬に当たった。
「…はぁ。」
こんなんで俺は、番いとやらを見つけることが出来るのだろうか。
数週間前に決意した思いも揺らぐ。
目を閉じると、気持ち悪さが少し緩和されて、
深く息を吸ってもあの甘い匂いがしないことにホッとする。
あと少し休んだら戻ろう。
太陽の光を目蓋の裏で感じながらそんなことを思っていると、
背後で聞こえたドアが開かれる音。
と、同時に強い風が吹く。
「っ!?」
風に運ばれた匂いは、さっきの物とは比べ物にならない。
全身の血が沸騰し、身体中を渦巻くような興奮。
「ようやく見つけた。俺の、運命の番い」
耳に響く低音に、体の力が抜けていくのが分かった。
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