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地球は青くて綺麗です
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車から降りて俺は一目散に海に向かって砂浜を走りだした。
「冷たっ!」
素足で海に入ると暖かな陽気とは裏腹に冷たさが肌を刺す。
「谷崎ぃー。来いよー。」
俺は遠くの岩場に座って海を眺めている谷崎に声をかける。谷崎はサングラスをかけたまま黙って首を振った。
俺は一人でしばらく波打ち際ではしゃいでいた。
足が海水と砂でどろどろになった頃、俺は谷崎のもとへ行き、隣に腰を下ろした。
俺は谷崎のサングラスを勝手に外す。
「何をする。」
「海。綺麗だろ。」
「まあな。」
谷崎が顔をしかめたまま頷く。
「宇宙に行った昔の人が地球は青かったって言ったんだって。地球って青くて、綺麗なんだよ。」
「そうだな。」
俺は海から目を離さない谷崎の顔を俺のほうに無理やりむける。さきほどまで先の見えない水平線を映していた瞳に俺が映る。
「こんなに綺麗な地球、滅亡させるなんて言うなよ。」
谷崎は視線を俺から外し、黙りこんだ。
波を打つ音が静寂を打ち破る。
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