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シの色11
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どうして、
あのとき早くこの人を手に入れてしまわなかったのだろうと、
後悔ばかりが残る。
とても単純だが、男が生きている時に、彼の首を噛んでさえいれば、
こんなことにならずに済んだのだ。
当時の無駄なプライドや地位にしがみついていたから、
何年も苦しませてしまう。
あの頃の男は、何でも出来ると自分を過信していた。
自分はα性で、特別な存在で。
全部を思い通りに出来る思っていた。
それが、大きな勘違いだということに気づいた時、
男の元をシが離れ、いなくなっていた。
自分の喉の頸椎を2つ預けて、シは、男の元を離れた。
喉に近い頸椎を男に渡したシは、
男に『愛しい』という思いだけではなく、
その言葉を伝える手段さえ、男の元に残してシはいなくなった。
または、ヒートに苦しむ時の叫び声を
誰にも知られたくなかったのかもしれない。
「後悔…してる?」
微笑むシに、瞬きせずじっと彼の瞳を見上げる。
「してる」
無理矢理にでも、彼の手を取ってあの場所を抜けでして、
さっさと駆け落ちしてしまえば良かった。
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