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きっかけは小さな隕石が落ちた事だった。
「必ず防護服を着て、調査に当たれ」
「石から黒い物体が染み出しています」
「…………動いている」
調査チームは調査内容、記録映像を公開。
『未知の生命体を発見』
新聞やマスコミで連日、騒がれた。
尋常ではない速さでの増殖。解明が追いつかない程の複数、難解な変異。
その途中で関係者が次々と謎の死を遂げた。
危険を感じ、調査は中止。
生命体は一つの国を簡単に滅ぼす程の恐ろしい有害物質を出すと暴露された事で、良くない輩が立ち上がった。
『邪魔者を簡単に消せる』
厳重に警備をされている中、それを盗み、売りさばいた者がいた。
買い取ったのはテロリストの一味や国の研究所、裏世界の人間。独自の方法で入手し、売買が取り行われた。
次々に生命体の増殖に成功。恐ろしい速さで増え続けていったという。
私利私欲の為に、生命体は高値で売られ、物凄い勢いで拡散される。人から人へ、ある時は国から国へ、生命体は有害物質を出し続け、その対処法は解明されないまま。
――気付いた時には、すでに遅かった。
減り続ける人口。世界中に広がり、たった一年で人類は滅亡の危険に曝(さら)されていた。
外出禁止、交通系を封鎖してもそれは止まらない。
こぞって学者や研究者達はその生命体を命懸けで調べた。
愛する者の為。国の為。人類の為。
その中で生き残る人間に特徴がある事が分かった。
重症になりながらも命が助かった者、同じ室内にいても症状がでない者。経緯や生い立ちを調べ、明らかになってくる。
反対に言えば、一年をかけても分かっている事はその一つだけ。
αとΩにはその有害物質が効きにくい者がいた。そして完全耐性を持っている者もいる。それ以外の者はその空気に少し触れるだけで、時期はそれぞれだが確実に死に至った。
αならば両親、祖父母、αである程、耐性がある。病弱で弱いと言われるΩも同じ。血の濃さによって、耐性の強さが変わる。
元々、βはβと結婚し、αはΩと結ばれる事が多い。α同士の婚姻自体、稀である。ΩとΩの子どもに至ってはほとんど存在しない。
人類が激減した理由がそこにあった。
人はそれを『神の粛清』だとか『増えすぎた人類への制裁』と言った。
どうやら俺は特異体質らしい。
父がα、母がΩ。
なぜ生き残っているのかは解明されず、体質や血液を調べさせて欲しいと、研究所に連れて行かれ、全身を隈なく検査したが、その後、一切、連絡がない。
「いたぞ! Ωだ!」
「捕まえろ! 絶対に逃がすな!」
こんな会話は日常茶飯事。
世界では跡取りを残す為、Ωを囲う者が出てきた。αの女も妊娠が可能だが、妊娠率が極端に低く、確実に子を産むΩの方が重宝された。
家族から奪い、攫(さら)う。番のいるΩを引き離し、無理矢理、相手をさせる。世界中で犯罪が多発。
苦痛に弱ってしまい、子を成(な)せず、中には病んで命を落とす者も多かった。
同時にΩがいる場所を密告するケースも多かった。ネット上で数少ないΩの住所や職場等の情報が売り買いされ、大金を稼ぐ。
次第に『Ω狩り』なんて恐ろしい言葉が蔓延。純粋なΩはさらに数が減り、Ωはさらに希少な存在へとなっていく。
ここまでくると政府は動かない訳にはいかなかった。
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