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side.蓮
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朝起きるとすでに11時を過ぎていた
ベッドサイドに手紙がある
『蓮、おはよう
よく寝てたので先に出ます
家に帰るなら一言連絡してね
行ってきます、浩太』
…帰りたくない
でも浩太は帰れって思ってるのかな
今週は大学もバイトもないしここにいたいな
迷っているとケータイが震えていることに気づいた
画面には『浩太』の文字
ピッ
『もしもし?蓮?』
「うん」
『起きてた?』
「うん」
『なんかあった?』
「何も…」
『今日帰らないで待ってて
家帰りたいなら仕事終わってから送っていく』
「あ、うん」
『じゃあそろそろ切るね』
「うん」
寝ぼけているわけではないが言葉がうまく出てこない
仕事をしている人に対して「頑張って」も「お疲れさま」も言えないなんて最低だと自己嫌悪した
休みなのに何もしていなかったら捨てられるかもしれないと思って起き上がる
家の中を一周してみたが、洗濯も掃除も皿洗いも済んでいて自分にできることはなさそうだった
大学のレポートを進めておこうと思い立ってパソコンを開き集中する
どれくらい時間が経っただろう
気づけば外はだいぶ暗くなっている
夜ご飯を作ろうと冷蔵庫を見たが何も入っていなかった
昼間のうちに確認しておくべきだったなと思いながら身支度をして家を出た
スーパーでは肉や魚の特売をしていてたくさん人がいた
肉と魚、野菜の順で売り場を見て回る
お惣菜で済ませてしまおうかとも思ったが仕事をしてきた浩太も食べるのにそれはないだろと首を振って考え直す
「そういえば今日何も食べてないや」と気づいたのは会計をしている時だった
もうすぐ帰ってくるかな?なんてちょっとワクワクしながらご飯を作る
同棲したり、結婚したらこんな感じかな?
あ、でも俺も仕事するから一緒に帰ってきたり?
未来の妄想を膨らませて一人でニヤニヤしているとスマホが着信を知らせた
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