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蓮は1時間ほど泣き続けた後疲れて寝てしまった
蓮に布団をかけて寝室を出る
作り置きのおかずを冷蔵庫から出してレンジに入れた
トマトを大きめに切り半分に折ったパスタと一緒にタッパーに入れる
ツナ缶と調味料を加えてこれもレンジに入れた
流行りのレンチンパスタってやつ、簡単で美味しいし洗い物も少なくなるからよく作っている
あと鍋1つでできるワンポット料理も。
蓮の分はきっと食欲はないだろうからおかゆを作っておいた
食べられなかったら明日の朝食べさせよう、なんて思いながら寝室を覗くとすでに起きていてボーっとしていた
「あ、」
「起きた?
ご飯作ったけど食べられる?」
フルフル首を振って否定を示すがこっちに手を伸ばしている
来てってことらしい
「なに?どした?」
何も言わないまま控えめに抱きついてくる
「一緒にいこうか」
蓮をソファーに乗せて隣で夕飯を食べ始める
蓮は食べている間も終始何も言わず、問いかけには頷くか首を振るかで答えている
洗い物を終えて再びベッドに逆戻りした蓮のもとに行くと小さく震えていた
「れん?」
「ひっ、」
「どうしたの?」
フルフル首を振って話すことを拒否する
今回は何も話す気はないのか?
そんなことはさせないけど、と思いながら抱きしめる
「何があったか教えて?
それとも俺には話せないこと?」
「ちが、あ、でも……」
「ゆっくりでいいからさ」
「うぅ……」
「一人で抱え込まなくていいんだよ」
蓮はしばらく悩んでから消え入りそうな声で「バイトクビになった、採用も取り消し」と告げた
なんといえばいいのか分からなかった
ほとんど経済がストップしてしまった世の中ではおかしくない話だ
大手企業のリストラの話も耳にすることがあった
でもまさか…
「……そっ、か。」
「…」
「家族には、まだ話してない?、よね?」
ぎこちなく頷くと俯いてそれ以上は何も言わなくなってしまった
肯定でも否定でもない、どうしたらいいかわからないってことだろう
一日中1人で抱え込んでずっと傍にいた俺にも何も言わずに命を絶とうとしていたくらいだから、家族に相談するなんて思考回路はなかったかもしれない
まだ大学生なんだからもっとみんなを頼っていい、と事あるごとに何度も言い聞かせたがなかなかできないままだった
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