アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
大学 後継者
-
進路に国内でも最先端の経済学を学べる最難関のこの大学を選んだのは、鳳グループ代表取締役社長の父親の跡を継ぐためでした。
凛太郎君も、僕と同じく将来が決められた身ではありますが志は違います。
本人は認めたがりませんが、彼はとても寂しがり屋で実は人見知り。
「暁が行くならそこにしてやるか」と、僕の進路相談シートを覗き込んでそのまま第三希望まで書き写してましたからね。
でも、入学してからは学ぶことも多くて僕より生き生きしてます。
たまーに、興味がなかったり、先程の講義のように既知の内容には辛口辛辣なツンが出ますが。
二人で同じ講義や許される範囲の課外活動にも参加しているので、大学では二人一組で扱われています。
単独行動は、危険ですからね。
僕や凛太郎君は、いつどこで誘拐や脅迫のネタにされるかわかりません。
ずっと二人だと飽きないかとか、喧嘩しないのかとか、お父様に笑いながら聞かれたことがあります。
凛太郎と話すのは楽しいですし、二人共喧嘩が不得手なので特に問題なく過ごしています。
凛太郎君の話はどれも楽しいですが、中でもご家族の話は一番です。
幼稚舎の頃から凛太郎に家族の話をせがんでいたのですが、年々孕親の一樹さんの名前が出てこなくなって近頃は物足りなさを感じています。
僕の中では、あの桜の下で笑っている四人の姿が特別なので、一人でも欠けるとソワソワと落ち着かなくなるのです。
凛太郎君の話してくれる家族の話。
お出かけ先の話に一樹さんの名前が出てこなくて、「一樹さんは?」「また一樹さんは仕事なんですか!」とがっかりしていたら、凛太郎君に僕の初恋を一樹さんと決めつけられてしまいました。
僕は、特に一樹さんのことをそう言うふうに考えたことも無いですし、凛太郎を産んだ方に恋心を抱いていると言われても全くピンときませんでしたが、このときの凛太郎は⋯キラキラ目を輝かせてドヤ顔でした。
長年議論されていた問題の解決策を、正式に論文で証明したような爽快で達成感に溢れた笑顔まで向けられたので曖昧に流しました。
凛太郎君は、たまに暴走します。
周りの環境が変わっても、僕の周りは基本的に何も変わりません。
賑やかな凛太郎君がいて、進むべき道はずっと先まで示されていて。
僕が社長になるために、学ぶべき時間はまだまだたくさん残されていると思っていました。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
4 / 13