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魔法魔術講座5
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「ということは、魔術と魔導は神様が作った力ではない、ということですか?」
「ああ。魔術は、魔力を持たない俺みたいなのでも使えるように、人間が長い年月をかけて開発した学問だ。勉学に得手不得手があるように、できる奴できねェ奴の差はあるが、学べば大抵の奴が使える」
「学問……」
「魔法紛いとも言う」
言って、グレイはポケットから緑色の石を取り出した。
「魔術を使うのには、魔術鉱石っていう、魔力に代わる媒介が必要でな。例えばこれは風の精霊の力を秘めた魔術鉱石なんだが、この中にある燃料みてェなもんを使って術式を編むことで、魔術を発動させるんだ」
緑の石を握ったグレイが、空中をなぞるようにして指を動かす。すると、彼の指先が滑った軌道が、淡い光となって宙に浮かび上がった。その光はグレイが指を動かすままに複雑な紋様のようなものを描いていき、やがて小さな陣のようなものが完成したその瞬間、窓もドアも締め切った部屋の中に突然風が生まれ、驚く少年の髪を優しく揺らした。
「今、この部屋に風が吹いたのが判ったか? これが魔術だ。さっき描いたような模様の種類で、発動する魔術が決まってる。まあ、数学の公式なんかに似てるな。色んな公式が持つ意味を理解し、それらを複合することでより高度な魔術に昇華することもできるんだが、当然ながら複雑性を増せば増すほど難易度も上がる。……すげぇ勉強しねぇと複雑な公式は理解できなくて、覚えた公式を色々組み合わせて新しい魔術を生み出すのは更に賢くならねェと無理って感じだ、って言えば判りやすいか?」
グレイの言葉に少年が頷く。
このときグレイは面倒だし必要がないからと言わなかったが、新しい魔術を生み出すことができる魔術師は非常に稀で、冠位錬金魔術師になるための必須条件のひとつであった。
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