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魔法魔術講座13
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「そう心配そうな顔をするものではないぞ。大丈夫だ。連中の怒りは全て私に向くのだから。お前を勝手に連れ出して飛び出したのは私なのだから、お前が怒られる筈がない。レクシィもグレイも、そんな理不尽な怒り方をするような愚か者ではないこと、お前も知っているだろう?」
優しい声で宥められ、それもそうだと思った少年は少しだけ安心した。しかし、そこまで判っているのに何故この王はほいほいと城を抜け出そうとするのだろうか。
そんなことを考えながら、ちらっと王を見た少年は、今さらながら王の姿がはっきりしていることに気づき、首を傾げた。
「……あの、そのままで城下に出て良いんですか? 今の貴方、王様だって簡単に判ってしまう気がするんですが……」
赤銅の長髪に、美しい金色の瞳。そして何より、国王の肩書に恥じない立派な服。この出で立ちは、どこからどう見ても国王陛下その人である。
「うん? ああ、国内ではこれで構わんのだ。私が城下をうろつくことなど、民は皆慣れっこだからな」
安心しろと言わんばかりにそう言った王だったが、それはそれでどうなんだろう、と少年は思った。
「さて、何か見たいものや欲しいものはあるか? 金なら持ってきたからな。私が買える範囲のもので良ければ、何でもプレゼントしよう」
やたらと機嫌の良い王がそう言って笑い、そんな王の様子を喜ぶように、王獣が楽しそうに吠えた。
そんな一人と一頭に挟まれた少年はやはり困ったような顔をしていたが、きっとこの王が離してくれないだろうことは知っていたので、少し迷った後、そっと王の胸に自分の体重を預けるのだった。
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