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城下町デート9
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「あ、あの、貴方、僕、そういうつもりはなくて、あの、だって、貴方は十分すぎるほど魅力的だと思いますし、その、」
国王陛下に失礼な態度を取ったなどと思われては、自国の王が大好きらしい国民たちからなんと罵られるか判らない。そう思っての弁明だったのだが、王は嬉しそうな顔をして少年を見下ろしてきた。
「そうか、魅力的だと思うか」
「え、ああ、はい」
「では、美しいだろうか?」
そう言った王が、少年の頬に手を当て、顔を覗き込んで来る。咄嗟のことに回避することもできず、少年は炎の滲む瞳を真正面から受け止めてしまった。これでも随分慣れてきた方ではあるのだが、それでもこの金の瞳は毒である。結局思考が鈍ってしまった少年は、王の瞳を見つめたまま、とろりと小さな声を漏らした。
「……うん、あなた、すごくきれい」
「……ああ、私もお前を愛しているよ」
心地よい低音が少年の耳を擽り、薄く開かれた唇に、王のそれがそっと重なった。
相変わらず、熱のこもった唇だ。この人は手も温かいから、もしかすると体温が高い人なのかもしれない。
ぼんやりとそんな考えが浮かんだ少年だったが、口づけと同時に王の目が閉じられたことで、はたと我に返った。そして、自分が今いる状況を思い出して、羞恥にぶわりと頬を紅潮させる。だがその直後、国王が汚い自分に口づけている現場を国民に見られてしまったという恐怖に、今度はさっと青褪めた。
赤くなったり青くなったりとしている少年の様子に、王も気づいたのだろう。名残惜しそうに唇を離した王は、少年を落ち着けるように優しく頭を撫でた。
「どうした?」
「あ、あの、ぼく、」
「こらこら、そう恥ずかしがるものではないし、怯えるものでもないぞ。キョウヤは忙しい子だなぁ」
全く納得がいかない評価を下された気がするが、今はそれどころではない。とにかく弁明と謝罪をしなければと、慌てて店主の方を見れば、初老の彼は、何故だかとても穏やかな表情を浮かべていた。
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