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城下町デート16
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そんな状態で、どれほど歩いただろうか。軽くパニックになってしまっている少年にはどれだけの時間が経ったか判らなかったが、とにかく王はある店の前で歩みを止めて、そこでようやく少年を降ろした。
「ここにも用事があるのだが、立ち寄っても構わないか?」
「え、あ、はい」
そんなこと、所詮は庶民にすぎない少年にいちいち確認を取る必要はないだろうに。しかし王は律儀なのか、少年が頷くのを確認してから、例によって少年の手を取って店の中へと入って行った。大きな手に手を握られてしまった少年は、拒絶することもできずに店に連れて行かれる形となってしまう。
そうして足を踏み入れたのは、どうやら服飾が専門の店のようだった。ぬいぐるみを買った店とは違い、こちらはもっとシンプルな造りの店だ。しかしながら、並んでいる衣服の縫製はやはり丁寧で、この店もまた高級店であることが窺えた。
前の店同様、快く迎えてくれた店主と二言三言話したあと、その店主から綺麗に装飾された包みを受け取った王は、笑顔でそれを少年に差し出した。
「……ええと……」
さすがの少年も、二度目ともなれば多少の頭は働く。この状況は、先程と全く同じだ。つまり、もしかするとこれも、
「……僕に?」
半信半疑でそう問えば、王は笑みを深めて頷いた。
「今月の分の誕生日プレゼントだ。受け取って欲しい」
「…………はい?」
言われた意味が全く判らず、思わず訊き返してしまった。
「……ええと……? 今月……? いや、というか、誕生日プレゼントは、そのテディベアをさっき頂いたのですが……」
「うん? ああ、あれは先月の分の誕生日プレゼントだろう? これは今月の分だから、別物だ」
「…………えっと……」
困惑する頭で、それでも懸命に考えてから、少年なりの結論を出す。
「……グランデル王国では、毎月誕生日を祝うものなんですか?」
「いいや? そんな習慣は、この国どころかこの大陸では聞かないな。キョウヤの国ではそうだったのか?」
「え、いえ、違いますが」
少年の返答に、王は心底不思議だというような表情を浮かべた。これではまるで少年の頭がおかしいかのようだが、おかしいのは絶対に国王の方である。
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