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城下町デート18
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「お前に気に入って貰えたら良いのだが。テディベアと違って確実に喜ばれるかどうかも判らぬ上、こういうものは何が最良か判らぬから難しいな」
王はやはりテディベアに絶対的な信頼を置いているらしいが、テディベアは確実に喜ばれる贈り物ではない、と少年は思った。
「開けてみてはくれんか? 気に喰わないなら別のものを用意する」
「え、あ、はい……」
こんな店内の、しかも贈り主と店主が見ている前で、気に入らないなどといった発言などできる訳がないのだが、王はどうしても今すぐにこの包装の中身を見て貰いたいようである。
仕方なく少年が包みを開ければ、そこには鈍い草色の生地が入っていた。そっと手に取ってみると、そこそこ厚手のそれは、思った以上に柔らかだった。
「良ければ広げて見てくれ」
王に言われ、手触りの良い布を広げてみる。そして、広げたそれに、少年は少しだけ驚いたように目を開いた。
「……これ、」
少年が王から贈られたのは、獅子をモチーフにした刺繍が施されたマフラーだったのだ。
「通常のものよりもかなり丈を長くするよう注文したのだが、それだけあれば使いやすいか?」
「え、っと……」
一瞬言われた意味が判らなかった少年だが、すぐに、首元を隠すのに十分かという意味だと悟る。心の内を見透かすことが得意な王のことだ。きっと、少年が首元を露出することを特に嫌っていることくらいは気づいていたのだろう。確かにこのマフラーは、今まで見てきたマフラーと比べると遥かに丈が長い。ということは、普通に作られるような商品ではないということではないだろうか。
「……これ、もしかして、特注、とかですか……?」
恐る恐るといった風に尋ねた少年に、王が笑顔で頷く。
「ちなみに、刺繍は私をイメージして職人がデザインしたものだ。デザインだけならばお前に任せても良かったのだが……。ああ、ほら、デザインはお前が得意とするところだろう? だが、それではサプライズにはならんからな」
なんだか王が色々と言っているが、特注品だということに顔を青くしてしまった可哀相な少年の耳には入っていない。
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