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城下町デート21
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「いや、そう褒めないでくれ。恥ずかしいではないか」
王はそう言って笑ったが、店主の方はまだ賞賛し足りないのか、尚も王を讃える言葉を紡ぎ続ける。そんな店主に丁寧に応えてから、王は品物に対する礼を述べて、再び少年を抱き上げた。そして、案の定驚いて変な声を上げた少年を気にすることもなく、にこにこと微笑んで店の外に出る。
「さて、これで用事も済んだことだし、今度こそ本格的にデートを楽しむとするか」
「え、ええ、と……」
もう十分デートらしきことはした気がするのだが、まだ何処かへ行く気なのかこの王は。
「あの、でも、そろそろ戻らないと、お仕事が……」
のんびり歩いていたせいか、城下に降りたときと比べると日が傾いている。出掛けのグレイの怒鳴り声から察するに、王にはまだまだ仕事が残っている筈だ。
「まあ、仕事があるにはあるのだが、それよりも私はお前とデートがしたいし、何より我が国の臣下は皆優秀だからなぁ。私のようなポンコツがおらずとも、十分執務は回るのだ」
国王にあるまじき発言をしてのける王に、少年がどう応えるべきかと困ってしまったときだった。
「お言葉ですが陛下。国には国の面子というものがございます。心底からどうしようもないポンコツ王だとて、せめて玉座で飾り物になるくらいの役には立てましょう」
突然背後から掛けられた刺々しい声に驚いた少年がそちらを見れば、美しい顔に引き攣った笑みを浮かべて立っていたのは、グランデル王国宰相のレクシリアであった。
「なんだレクシィ、随分と早い迎えではないか」
明らかに不満そうな声でそう言った王に、レクシリアが更に笑みを引き攣らせる。
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