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魔法魔術講座15
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「魔法は、精霊にお願いをして一時的な簡易契約を結び、望んだ現象を引き起こす力だ。勿論この契約は一時的なものだから、現象が生じ終わった時点で解除される。一方の魔導は、ヒトならざる生き物を無理矢理使役して、半永久的な従属契約を結び、その力を自分のものにする技だ。こう聞くと、思想や過程が大分違うからまるっきり別物のように思えるかもしれねェが、どちらもヒトではないものと契約する、という点では似ていると言って良い。だから、魔法と魔術と魔導の三つを並べた時、最も劣っていて最も異質なのは、実は魔術なんだ。魔術は人間のみで完結するものだからな」
「……あの、ヒトならざるものと契約をするって、そんなに簡単なことではないように思えるのですが……」
大した力を持たない生き物ならばそう難しいことではないのかもしれないが、デイガーの契約者のような強い魔物を使役するとなると困難を極めるのではないだろうか、と素人ながらに少年は思ったのだ。そしてその指摘に、グレイが頷く。
「ああ、その通りだ。魔法の場合は、精霊側が術者に好意的に接してくれるからこそ、ほぼノーリスクで発動できるが、魔導はそうはいかない。元々人間に従う気のない生き物を無理矢理従える訳だから、それ相応のリスクがある」
「リスク……」
「魔導で何かと契約を結ぶときはな、自分の精神力で相手の精神を屈服させなきゃなんねェんだ。俺も実際にやったことがないから判らないが、相手を喰うか自分が喰われるか、みてェな精神的な駆け引きの末、勝ったら契約が成立し、負けたら精神が破壊されて廃人になる。……帝国で魔導が流行り出した頃は、ものすごい数の廃人が生まれたって話だ。当時はまだ効果的な魔導契約の結び方やら、ヒトならざる生き物の拘束手段だとかが発達してなかったからな。奴らが今確立した方法だって、多くの奴隷や国民たちを犠牲に実験を繰り返した結果の産物だ」
グレイはそれ以上そのことについて語る気がないようだったが、それはきっと、少年が想像できる範囲を越えて悲惨な実験だったのだろう。
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