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ロステアール・クレウ・グランダ2
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はっと目を覚ました少年が真っ先に見たのは、心配そうにこちらを覗き込んでいる王の顔だった。
「大丈夫か、キョウヤ」
王の大きな掌が、少年を案じるように髪を撫でる。それに僅かばかりの居心地の悪さを覚えた少年がそっと視線を逸らすと、ここが少年が寝泊まりしている部屋であることが窺えた。どうやら、あのやけに大きなベッドに寝かされているらしい。
慌てて身体を起こそうとした少年だったが、制止した王にやんわりとベッドへと押し返されてしまう。
「身体に障るから、そのまま寝ていなさい」
「あ、……あの、僕……」
戸惑うように声を漏らした少年に、ベッドに腰かけたままの王がゆるりと微笑んでみせた。
「話の途中で突然倒れてしまったのでな。勝手ながらここまで運ばせて貰った。しかし、眠っている間中うなされていたものだから、酷く心配したぞ」
「倒れた……」
呟いた少年に、王が少しだけ窺うような表情をした。
「覚えているか?」
問われ、少年は暫しの沈黙のあと、静かに頷いた。
やや記憶があやふやだが、確か、この王に母のことを話したのだ。少年にとって禁忌のようなあの話を何故自ら口にしたのかは思い出せないが、そんなことはよくあることなので、今はどうでも良い。それよりも少年にとっては、王に全てを知られてしまったことの方が重要だった。
「……あの、…………ごめん、なさい……」
思わずといった風に口にした言葉は、酷く震えてしまった。けれど、謝らない訳にはいかなかったのだから仕方がない。
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