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宮間景親は、変な人間だ。
身長ばかりヒョロリと高くて、時代遅れの分厚いフレームの眼鏡をかけて、地味な顔立ちで、いつも似たような服装で、自信なさげで、声が小さくて、童貞を拗らせている。
いい印象なんてどこにもない。強いて言うとするならちんぽが大きいこと。
元々桃司は気持ちのいいことが大好きで、今の店に勤め始めた。決して経済的に困窮しているとか誰かに脅されているとかそんなことはない。ただお金をもらってセックスができるなんて最高だと思ったからこの仕事を選んだ。
しかしそれなりに偏見もある。それも理解しているつもりだった。
なのに彼は、この職業を誰かを救っていると言った。そんなことを言われたのは初めて。素を見せて引かなかったのも彼が初めて。お金を貰わなくても会いたいと思ったのも初めてだった。
既読から返信までに随分と時間がかかること、直接会うと情けない大型犬みたいに表情がくるくる変わるのにテキストだと素っ気ないこと、待ち合わせ時間より随分早くから集合場所でそわそわしながら待っていること、どんな話でも絶対に馬鹿にしないで聞いてくれること。
全然カッコよくない彼に、恋をした。
けれど何度も会っているのに体を求めてこないことが不安だった。もしかして、好きだなんだと言っていたのは気の迷いだったのだろうかと。体から始まる関係が多かった桃司は、普通の恋愛が分からない。
だからお酒の力でも借りれば、景親が手を出してくれるのではないかと企んだのだ。
だというのに楽しみにしていたその日、たまたま街中で彼を見つけてしまった。綺麗な女性と並んで歩いている姿を。
楽しそうに話しながら目の前を過ぎていく2人は、桃司には到底埋められない性別の壁をまざまざと見せつけているような気になった。
僕は元々ゲイで、恋愛対象は常に男性だったけれど、景親はそうではないのかもしれない。
そう思うと胸が押し潰されそうだった。
だって、あんな綺麗な人に敵うはずない。こんなに可愛げがなくて、端から見ると体を売っている汚い男だ。
その日は、ハイペースで酒を飲んだ。景親は心配そうにしていたけれど、飲まなければまともに顔を見ることさえできなかったから。
そして酔った勢いで抱いてくれとせがんでも、あまつさえお金を払おうとさえする鈍い景親に腹が立って、ヤケクソで好きだと叫んだ。
もうどうにだってなれ。
全部全部、悪いのはこんなに好きにさせたちーちゃんだ。
ちーちゃんなんか、大嫌い。
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