アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
1
-
出会いは突然だった。
無駄に長い夏休み、俺は約10年ぶりに中学時代までを過ごした地元に帰ってきていた。
親の離婚で関西に越したとはいえ、今更父親に会いに行くほど優しい息子なわけもなく、
何となくアパートを借りて一人暮らし気分を味わうだけ。
秋から始まる教育実習の下見という設定で
実際のところマッチングアプリや偶然を装って昔の同級生…の中でも整ってそうな奴を食うのが目的だ。
自分がめちゃくちゃ美人で清楚系代表であることは申し訳ないが俺が一番わかっている。
今日もどこからどう見ても美しい俺。
ナイス俺。
アプリを起動すれば、ほんの数分で通知が鳴る。
せっかくの足を伸ばせるいい機会、
早速今夜の相手を探そうと目についた良さげな避暑地に入らせてもらうことにした。
学生の俺は夏休みでも、世間の社会人は勿論仕事をしているであろうド平日。
期待はしていなかったが釣れる相手はどれもこれもガキクサいのやモサそうなのばかり。
少し…いや、かなり田舎をナメていた。
マジくそばっか。帰りてえ…
なんて思いながらも両刀使いで端末操作を駆使していた時。
「失礼しまーす。
だいぶぬるいと思いますけどコーヒー新しいの持ってきますか?」
なかなか綺麗な顔立ちの奴を見つけた。
身長は俺より少し高くて無駄に穴の多い耳。
店の照明にギッラギラと反射する傷み切った髪の色。
………いいな。結構手馴れてそう。
会話の内容なんて覚えていない。
俺の頭の中はどうやってコイツを落とすかって事でいっぱいになった。
早々に会計を済ませ、チラリと俺のいた席を見れば
彼は未だにその場で立ち尽くしている。
店を出る間際、彼を怒るような声が聞こえたが…
もしかして、俺で頭いっぱいになっちゃった?
そうだったらなんて気分がいいんだろう。
まあ、いくら手馴れてそうっつっても
出会った初日の店員に逆ナンはしねえよ。
まずは堅めな印象持たせた方が、色々と手懐けやすいからな。
すっかり日も暮れて、数十分前に偶然釣れたそれなりにタイプの男を公園で待つ。
最後の返信から5分ほど経った頃、
一つの影が近づいてくるのがわかった。
…???
は、待って。なんかデカくね?
俺の間違いじゃなければ、プロフに178cm60kgって書いてあったんだけど。
歩いてくんの、プロレスラー並みのゴリラなんだけど。
「遅れてごめんよ!君が…菅沼君で合ってるよね?」
「違います。」
詐欺にも程があんだろーよ!!
「いや、でも背丈も服装も聞いてた通り──」
「人違いです。」
ゴリラは俺の話をまるで聞く気がないらしく、
しつこく纏わりついてくるのが気色悪くて仕方ない。
確かにアイコン以外の写メ確認をしなかった俺も悪いけど、それにしても酷い話ではないだろうか。
「おい…いいからついて来いよ!
溜まってんだろ?!」
「やだ…やだ離せ!やだ!」
例えどんなに溜まってようがゴリラとヤる程俺の人生終わってねーよ!
吠えようが喚こうが、結局力では到底ゴリラに及ばず、
グイグイと引っ張られる腕の痛みに恐怖を覚え始めた時だった。
「おい!そこのゴリラ何してんだよ嫌がってんだろ!」
俺を掴む手が、身体が、一瞬で吹っ飛んだ。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
1 / 15