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まず、人生において悩んだ事はなかった。
学生の頃も、研修医の頃も、そして医師として働き出してからも、そうそう悩んだ経験はない。
そんな俺が唯一、頭を悩ませた相手は、毎日顔を出してくれるMRの子についてだ。
まあ、めちゃくちゃ可愛らしい。
男が男に対して可愛いというのは、少しおかしな感覚なのかもしれないが、一生懸命なところが可愛いし、口調も、くるくる変わる表情も、ドンピシャ好みなのだ。
「山野先生。」
医局の前で立つ甲斐くんは、俺のお気に入りだった。
「あの、この前ご紹介した機器はいかがでしたでしょうか。」
営業だから、もちろん、そういう機器の購入に繋がる話をしてくる。
だけど、そういうの抜きにして話をしてみたかった。
数いる外科医の中で、俺に話を持ってくるあたりも可愛い。
もちろん、俺が欲しいと思えば、外科部長に機器の推薦なんて話をしないといけなくなるという面倒な事になるけれど、それを差し引いても好意が上回った。
数年前、真っ赤な顔をして機材の説明にやってきた時には、こてんぱんにやっつけてやったが、甲斐くんはそこで腐らなかった。
すぐさま会社に戻って勉強しなおしてから、再度説明にしに来院した可愛い奴だ。
その時の印象は、へぇ、ヤル気あるなぁ。だった。
だいたいがMRは、辞める奴が多い。
医者ってのは、変人が多いからなのかもしれないし、素人なのに医学の知識を勉強しなけりゃならない、その勉強量に怖気付いて辞めるのかもしれない。
彼らから実際に聞いたわけじゃないが、MRの仕事は、特殊だと思う。
「山野先生、また来ますね。」
あー、ぷりぷりのケツがそそる。
なんて思いながら、山野は、ふわぁあとあくびをした。
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