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仕事は、時間の感覚を失くす業種だ。
朝8時から夜23時までがデフォルトの勤務時間になる。
もちろん、夜勤もあるし非番の日もある。
木曜は夜勤で、本来なら朝から帰れた。
だけど、結局帰りそびれて仮眠を取っただけだった。
万年、睡眠不足。
万年、恋人出来ず。
ただひたすら病院と家の往復に、正直、心が病みそうだった。
医者の残業時間は、年2000時間。
過労死ラインを軽く超えている。
残業代も、出しているところはあまり聞かない。
病院側は、俺たちには年俸で支払っているから、払う義務がないと言うからだ。
最低最悪な、労働環境。
それでも踏ん張れているのは、回復していく患者の笑顔があるからだ。
ああ、それと、
「お待たせ。」
「お、お疲れ様です!!」
待ち合わせの喫茶店に座る甲斐くんが、笑顔で立ち上がった。
そう。
彼の笑顔に、山野は救われていた。
「スーツのままなの?」
「あ、一旦家には帰ったんですけど。」
ふんわりとシャンプーの香りが漂って、山野は注文の多い料理店の話を思い出した。
・・・煽るなあ。
正直、体はクタクタだ。
本来なら、さっさとメシを食って寝た方が良い。
だけど、久しぶりに誰かと話しながら、ゆっくり食事を摂りたかった。
人間らしい生活をしたかったのだ。
妙に心が浮き立つ。
ずっと気になっていた甲斐くんと一緒のテーブルを囲めるだけで、その時は良いと思っていた。
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