アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
7
-
心が。
そして手が震える。
おずおずと見上げてくるその目が、好きだと言っている気がして、山野は息をのんだ。
頭に触れていた手を拳に変えて、そっと手を下ろした。
「終電、ある?」
激しく打ち出した心臓に気付かれそうなほど、声が震えた。
甲斐くんの陽に焼けた左手が上がって、彼は時間を確認した。
「あ・・・。」
その小さく洩れた声を拾った俺は、山猫亭に誘ってみた。
「なら、うちおいで。近くだから。」
頷いた甲斐くんの顔は、もう見れなかった。
------------※ ※ ※------------
「ごめんな、一人暮らしの男の家だから、狭いんだ。」
「あ、いえ。・・・逆に親近感が湧きました。」
家具は、大きなベッド(シングルサイズだと、落ちてしまう。)と、勉強机しかない。
医者の家らしい、高級なソファーもテーブルも無かった。
俺が必要性を感じなかったからだ。
「お邪魔してすみません。」
「寝に帰るだけの家だから、あんまり家具は無いんだ。」
座るところが無くて立っている甲斐くんに、ベッドに座るよう指示した。
「ごめん、ベッドに座って。」
「は、はい。」
まだ鼻の奥に、ポップの香りが充満している。
「水飲む?」
「はい。いただきます。」
小さな冷蔵庫から水を取り出して、コップを渡した。
「シャワー、先に浴びてきなよ。」
「ひゃっ!」
甲斐くんは、渡したばかりの水を床にこぼした。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
7 / 14