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帰り道で、
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「じゃあ、解散」
先生のその一言で起立した生徒たちはぞろぞろと教室を出て行く。
午後の授業が終わりを告げ、長かった一日が終わった。
かく言う俺も帰り支度をすませ、巡に別れを告げて校門を出たところだった。
校門から、自宅までの約10分間が俺が一人でいられる安らぎの時間だ。
学校では巡、家では蛍汰。
俺の周りには、なんで大人しくていいやつがいないんだろうか。
「あー、家に帰りたくない」
ボソリと呟いた独り言。
の、はずなのに
「じゃあこれからどこか出かける?」
後ろから聞き覚えのある声が聞こえた。
嫌な顔が表に出そうになるのを咄嗟におさえ、俺はゆっくりと後ろを振り向く。
「いきなり話しかけられるとびっくりするからやめろよ」
「ふふっ、ごめんね?」
絶対ごめんなんて思っていない笑顔で笑うのはルームメイトである結城蛍汰。
「で、家に帰りたくないならどこか遊びにでも行く?」
「行かねぇよ!」
お前がいるから帰りたくないのに、お前と出かけても意味ないだろうが!
そう言ってやりたいけど、流石にそこまではっきりとは言えない。
「残念、せっかくデートできるかと思ったのに」
「デートってなんだデートって」
「え、優真知らないの?デートっていうのはね...」
「デートの意味くらい知っとるわ!」
いちいち神経を逆なでされている気がする。
こんなのが、どうして学校ではあんなにキャーキャー言われているんだろうか。
食堂前で見たときも、一応笑顔で対応していたけど特別猫を被っているようには見えなかった。
やっぱり人間、顔なんだろうか?
じい、と品定めするように蛍汰を見つめていると、俺の視線に気がついた蛍汰がニコリと微笑む。
「どうしたの?チューしてほしいの?」
「っ、な!?ちゅ、チューとか言うな!!」
こいつの脳内は一体どうなっているんだ!
一気に顔に熱が集まるのを感じながら、俺は蛍汰を置いていく勢いで家まで走った。
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