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誤解と正解
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「....へ?」
一世一代の覚悟よろしく大声で叫んでくれた美琴さんに対し、俺が漏らしたのは素っ頓狂な声だった。
全部聞こえてた、って、何が?
「全然聞くつもりはなかったんよ!?人様のプライベートやし、俺かて常識はある。でも、でもな?ここ普通のアパートやし、防音完備とかないし..聞こえてまったんや」
「え、え?」
どう言うことかさっぱり理解できない。
ここまで来て、どんどん自分の中の状況が悪化しているように思えた俺は、静かに理人さんの言葉を思い出す。
『だって人の情事を聞くの初めてだから』
『昼間から恥ずかしげもなく声を出して』
『淫猥な言葉を惜しげもなくペラペラと』
彼の放った言葉には、心当たりがあるものが幾つかあって。
美琴さんがずっと気まずそうに顔を顰めていた理由は、謝った理由は...。
まさか。
まさかまさかまさか...っ、
「っ..!!、っ..っ、」
やっと全てが繋がってあまりにも遅すぎる答えが出た瞬間、俺は身体中が熱くなるのを感じた。
聞こえてたんだ。
彼らは俺たちの部屋の隣だから。
俺たちの部屋の寝室と、彼らの部屋の間にはたった一枚の壁しかないのだから。
聞こえてたんだ。全部。
昨日の、あの行為の全て。
「昨日優真に部屋に入れてもらった時、蛍汰が本当に懐いてるからビックリしたんや。俺の知ってる蛍汰とは本当に全然違っててん。だから何でそこまで優真に懐いてんのかちょっと気になってたんやけど..、合点がいったわ。
お前ら、付き合うてたんやな」
「なっ、..ちがっ!付き合ってないです!あれは、昨日のはホントっ..っ////」
すごく恥ずかしいものを聴かれた上に、すごく妙な誤解までされてる。
全部、全部撤回したいのに。
蛍汰とは付き合ってなんかないし、昨日のアレだって俺が望んでしたことじゃない。
それなのに、恥ずかしくて、どうしようもなくて頭の中がどうにかなりそうだ。
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