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帰りたくない。
そう思う時に限って、学校が終わるの早く感じるのは何でなんだろう。
「きりーつ、礼」
今日の委員会決めで決まった委員長の号令。
先生は「さいなら」と適当な返事をすませそそくさと教室を出て行く。
いつの間にか下校時間。
いつの間にか午後4時。
クラスメートたちが次々に教室を出て行く。
「おーい、優真。かえろーぜー」
「うん」
帰ったら蛍汰もう居るのかな。
いや、家に着く前に普通に会うかな。
校門で待ってたりしたらどうしよう。
幸い校舎内で会うことはなかったけど、帰り道に遭遇したって何を話せばいいのか分からない。
会いませんように。
どうか、蛍汰と会いませんように。
平然を装いながらも、心中では神様仏様に無我夢中で祈る。
どうせ家に帰ったらずっと一緒なのは分かっていても、少しでも気まずい時間が少なくなるように、と。
「じゃあ俺、こっちだから」
「あ、ああ。じゃあな巡」
校門を出てすぐ、巡とは別れる。
駅とアパートでは道が正反対だからだ。
キョロキョロと周りを確かめてみるけれど、蛍汰らしき面影はない。
...まぁ、蛍汰がいたら周りはもっと騒がしいよな。
流石に朝あんな事があった後で一緒に帰ろうなんて考えあの蛍汰でもないか。
一人納得して、俺は大人しく帰路へついた。
アパートについて、階段を登り、ドアノブを捻ればガチャガチャと音だけがなる。
(...蛍汰、まだ帰ってないのか)
心の何処かでホッと安心しながらも、鞄から合い鍵を出す。
蛍汰が帰ってきたらまず何を話そう。
なるべく平常心で、笑顔は無理でも感じ悪くなるのだけは避けよう。
そう決意して、俺は鍵のかかっていないドアを開けた。
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