アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
自分の気持ち
-
ふざけんな!と顔を真っ赤にして怒る彼からは、先日の朝とは違う暖かさを感じる。
それはきっと、あの時とは違って本気で怒っていないということ。
「ごめん、つい」
「ついでキスなんかすんなバカ!」
必死になってゴシゴシと袖で唇を擦る優真。
「そんな擦らなくてもいいじゃん」
ファーストキスじゃないんだし。
そんな彼の手を引いて、俺たちは家へと帰った。
パタン、と静かにドアを閉めれば途端に静寂に包まれる。
さっきは自然と「好きだ」なんて言ってしまったけれど改めると何となく気恥ずかしい。
それは優真も同じらしく..。
彼はまだ赤みの残る頬でこちらを見つめてきた。
「け、蛍汰...さっきのはどういうことだよ」
彼の言うさっきのこととは、先ほどの告白のことだろう。
「どういうことも何も、言葉のまんまだよ」
こちらを見る優真から視線を外さないように、言葉を紡ぐ。
「優真が怒って行っちゃった朝、理人さんに言われたんだ。俺の行動は独占欲と嫉妬の現れだって、優真のことどう思ってるのか考えてみろって」
俺は、優真がどうして怒っているのかを知りたくて..、自分の中のはっきりしない感情が何かを突き止めたくて必死に考えた。
自分の気持ちを整理できたら、優真ともちゃんと向き合って話すことができると思ったから。
考えて、考えて、考えて..。
「でた答えがこれ。俺は優真が好きなんだ」
きっと、多分、最初からずっと。
認めてしまった今なら分かる。
彼に感じてきた色々な感情の終着点が何処であるかを。
彼を見るたび、心の奥がじんわりと熱を持ったあの意味を。
本当に最初から、ずっと、俺は優真が好きだったんだ。
「優真..」
真っ直ぐと優真を見る俺とは裏腹に、優真は恥ずかしそうに目をそらす。
「..そ、そんなのいきなり言われても困るっていうか..」
ごにょごにょと口を尖らせ喋る声はどんどんと小さくなっていく。
それでも俺は静かに耳を傾けた。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
78 / 93