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お思いつき
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体育館中の視線が集まる中、壇上へと足を動かす。
きゃーきゃーと騒ぐ女子たちに一々反応してる場合じゃない。
それでも、ふと視界に入ったある生徒に俺は目を留めた。
名前も知らないし、ちゃんとした会話を交わしたこともない。
でも、俺は彼女を知っているし彼女も俺を知っている。
横にいる友人と一緒になってはしゃいでいた彼女は、俺と目があうとゆっくりとその顔を強張らせた。
俺がどうして彼女に目を留めたのか、彼女自身わかっているんだろう。
昨日、優真のもとへ来ていた子。
家まで押しかけて、優真に余計なことを言った子。
ふと、脳裏に八重の言葉が思い浮かぶ。
『2、3年はお前に同室者が現れたってだけで嫉妬してんだ。それが蛍汰の想いびとなんてバレた日には妬み殺されるぞ』
牽制ははやめにしなくてはいけないと思った。
しかしそれはこんな席ですることではない。
でも、ここには全校生徒が集まっていて...。こんな機会早々ないのも事実。
「...無理やり俺を出した美琴が悪いよね」
元々俺には出る気なんてなかったし、誘い話もちゃんと断った。
なのに、当日いきなりこんな事されて。
逆に俺が何をしようと、あとから美琴に怒られる謂れはないわけだ。
美琴、ごめんね。
全然そんなこと思ってないけど、一応そういう意を伝えるべく、俺は体育館の隅で安心したように笑う美琴に微笑みかけた。
俺は誰よりも優真が大事なんだ。
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