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カレシ-4
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とある土曜日。
天気もよかったので、急遽、一織の車でプチ旅行に行くことになった。
デートってやつだ。
自分でそのワードを出しておいて、男同士のデートとは?と頭を捻った。
付き合う前から2人で出かけることはあったが、もちろんデートという名目ではなかったので何も気にしてはいなかった。が、こうして恋人になってから、なんだか変に意識してしまっている自分がいた。
動物園だとか、水族館だとか、遊園地だとか、デートの定番はあるけれど、どれもしっくり来なかった。
「俺行きたい海あるんだけど」
だがデートの行先の心配をしていたのは俺だけだったらしい。俺は快く一織の提案を受け入れた。
その行きたい海とやらは、地図アプリで調べると、車で3時間ほどの場所にあった。ドライブには丁度いい距離だ。
「あ、でも」
「ん?」
「お前は?行きたいとこあったんじゃないの」
一織のこういうところが、好きなんだなと思った。何気ないけれど、こいつはよく気が付くし、本当に優しい男だ。
「...いや、すぐに思い浮かばなくて悩んでたから」
悩みなんて生きてる限り尽きないものだが、こんな風な幸せな悩みなら、喜んで受け入れられる。
男の身支度は早い。
都は、髪も長かったし、セットにも化粧にも時間をかけていたから、出かけるまでに待つことが多かった。もちろん彼女なりに気を遣ってくれていて、俺より少し早起きして準備していたのは知っている。俺のために可愛く綺麗にしてくれていたのだろうし、それに待つのも苦ではなかったから、その辺のストレスは少なかったけれど。
一織は、髪型でオンオフを切り替えるところがある。ものの5分ほどで洗面所から出てきた一織の髪型は、やはり休日仕様だった。
仕事のときはジェルでタイトにスタイリングされているけれど、今日は無造作でラフなスタイルだ。普段上げている前髪も今日は下ろされていて、それだけで柔らかい雰囲気が纏う。
どちらの雰囲気も似合っているが、今みたいなラフ感のあるスタイリングの方が、俺は好きだ。
「惚れ直したか?ん?」
身支度を終えた一織を足元から頭のてっぺんまで一通り眺めていると、気付いた一織が顔を覗き込んできた。
にまにましやがって。
俺は無視して一織の背中を押し、靴を履くように促した。
「いいから早く靴履け」
「んな照れんなってー」
「...うるせぇ」
否定できないくらい顔が熱かったのが、悔しかった。
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