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思ったよりも普通の学校の見た目をしているそこは、
普段は本当に全日制の私立高校として、沢山の生徒が学んでいるらしい。
その中で、月に2日間、日曜日にだけ
協力校として通信高校に姿を変える。
「今日は1限を取る子が多いから
初めてには丁度よかったかもな。」
僕を教室まで案内してくれるのは
クラス担任のお爺さん。
転入する前に一度話したことがあるけど
優しくてゆったりとした話し方に安心する。
「今日から…よろしくお願いします。」
「あぁ、しっかりと挨拶もできて素晴らしいね。
教室でもその感じで行くんだよ。」
「はいっ。」
挨拶くらい当然だろうと思うけど
先述したようにこの学校には色々な理由を持ってやってくる人がいるから、挨拶一つでも…褒められる対象になるんだろうか。
教室の前にたどり着き、一つ深呼吸をすると
先生の後に続いて一歩を踏み出した。
教室には、僕のお婆ちゃんくらいの年の人や奇抜な髪色の人、あとは僕以上に気の小さそうな人…っていうと失礼かな。と、
とにかく色んな年代、見た目の人が揃っていた。
「ここが今日から君の学級だよ。」
「は…はい。えっと、
榊 伊月(さかき いつき)です。お願いします…。」
席に座っている人も少ない中、
適当な自己紹介だけを終えると
先生が教えてくれた真ん中の後ろから二番目の席に着く。
生徒と思われる人達は、僕をチラリと確認する程度で特に何を聞かれるわけでもなく
チャイムの鳴らない中、何となくみんな自分の席に座って行った。
…これが通信ってやつなのかな。
なんだか僕の考える学校とは違う。
「伊月君だっけ?よろしく!オレこーきっての!」
「えっ、あ…よろしくね。」
隣の席から飛んできた声に、ビクッと肩が跳ねる。
こーき君と名乗った彼は、
ニコニコ笑顔で僕を歓迎してくれた。
…なんだ、こういう子もいるのか。
年齢は僕とそんなに変わらないっぽいし
折角笑いかけてくれたんだから、仲良くなれるよう頑張らなきゃな。
終始小声で会話をしたり、ボールペンの芯の出し入れを勝負したりと
初日からやり過ぎちゃった事は反省したけど、
僕がクラスに馴染めるように先生も気を遣ってくれたのか、
特に何を注意されるでもなく初めの1時間が終わった。
教室の机と椅子は恐らく平日の学級の配置そのままにしているらしく、
所々に空席が目立つ。
僕の後ろの席もまた、空っぽだった。
「あっ、伊月次の授業も出る?」
「え?うん…どうして?」
「次現国だろ?西條の御一行が来るんだよ…。
お前初日からついてねーなぁ。」
西條の、御一行…?
というか、いつの間に呼び捨て…?
突っ込みどころの多いこーき君だけど、
周りを見れば確かに周囲は何処かそわそわしている。
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