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3限と4限は嵐のように過ぎ去った。
柊君を含めた御一行と呼ばれた集団は、
2限が終わると何処かへ行ってしまって
勉強についていくのに必死だったりもしたけれど
何より、僕の返事を破られたのは
一番苦しかった。
「っしゃー昼だ!弁当持ってきた?それか何処か買いに行くか?この近くにコンビニあっから伊月も来るか?」
大きく伸びをしたこーき君は、
遠くまで響く音でお腹を鳴らすと
僕の前の席に座った。
ちなみに前の席の人は、既にお昼を食べるために何処かへ行ってしまっている。
「僕は…ちょっと先生に呼ばれてるから
今日はごめんね。」
「えー。わかったよ、じゃあ再来週は一緒に食お?」
「…うんっ。」
再来週、なのか。
そうだった。
2週間に1度しか登校することのない校舎で
出会って仲良くなるなんてそれこそ奇跡なんだった。
そんな貴重な時間を割いて
僕は何やってんだか…。
本当は、先生に呼ばれたなんて大嘘だ。
右も左も分からないこの校舎で、いるかどうかも分からない人を少しだけ探してみようだなんて
どう考えても馬鹿げている。
…それに怖い人達も一緒かもしれないのに。
だけど
折角また会えた、何も伝えられなかった人。
あの日どうしてあんな事を僕に言ってきたのか
何も分からない人。
取らなきゃいけない単位とか、授業日数さえクリアすれば
あとは登校日でも行かなくていい、自由な学校で
今日を逃して次にいつ会えるのかもわからないんだ。
月に2回。
それももうあと半年しか無い。
見た目も名字も変わってしまった柊君でも
変わってない部分はあるとわかってしまったんだ。
僕は、今も君が好き。
って、勢いづいたのはいいけど…
どこだここ…。
体育館…いや、武道場?みたいなところに着いたまではよかった。
でも、その先を進んだのが間違いだったみたいで
見渡す限り木。
どうやら林のようなところに迷い込んでしまったらしい。
ここが学校の敷地内なのかも謎で
正直出られる気がしない。
最悪だぁ。
諦めてこーき君と一緒にご飯食べたらよかったよ…。
それでも途中まではちゃんと開けていて、
道みたいになっていたから必死で気がつかなかったんだ。
なのにいつの間にか、道らしい道もなくなって
どこを見ても景色は同じ。
幸い木が生い茂っているお陰でそこまで暑くは無いけど
ここで遭難するのは…やだなぁ。
とりあえず出口探さなきゃ。
あ。
変にグルグル回ったせいで
さっき自分がどの方向からきたのかすら分からない。
視界がぼやけていくのがわかる。
そもそも昔からインドア派で、生粋の方向音痴の僕が
どこを見ても同じ景色の場所から出られるはず、無いのになぁ…。
えっと、この辺りに
食べれるキノコとかあるのかな。
水ってどこかにあるかな。
天気予報、雨マークひとつも出てなかった…な……。
「…っう、ううぅ〜…。」
ポロポロと溢れ出した涙は、一度溢れたらもう止まらなかった。
次々と頬を伝うそれを拭き取る余裕もなく
抑えなきゃって思うのに声まで出てきそうで。
「うっ、うえっ…ぇぇえ…っ。」
「なーにしてんだよ。」
っ?!
ふと、後ろから声がした。
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