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「なあ榊…経験ないって、やっぱそういう事?」
「ぅえっ?!」
僕、そんなこと言ったっけ…。
なんか、夢と現実がごっちゃになって
し…した事ないだろって、柊君に言われた事がちょっと…過って…。
「ね、どうなの?ん?」
「そ……れは…。」
う、わ…僕
顔あっつい…。
柊君が、世界で一番近くに居る感覚は
なんだか夢みたいだ。
遠くで眺めていた人が
今、こうして僕の隣にいて
太陽の優しい温もりを帯びて、眩い光で僕を照らす。
身長なんて、確かあんまり変わらなかったはずなのに
今は僕より頭一つ分くらい高くて
顔もずっとずっと大人っぽくなって、格好良くなって
でも笑った時の歯が可愛くて
笑顔になると、ちょっと幼くなるから昔と変わらない。
今は、あの日と違って
身体だけじゃなく、心もそばに居てくれるみたいで…。
って、何考えてんだ!
僕のバカぁ…。
「なあ、聞いてんの?」
「へぁあ!え、えと…なんだっけ…?」
自分の世界に入って、周りが見えなくなっちゃうのは僕のいけない所だ。
えっと、確か柊君が言ってたのはーー…。
「…もしかして、俺の為に初めて取っておいてくれたとか?」
にやって笑う意地悪な笑顔。
…うぅ、どうせ……わかってて言ってるんだろ…。
「結果的には……そう、なり……ます…。」
「だーよな。知ってる。」
「うっ。」
なんだか…バカにされた気分だ。
でも心なしか、柊君の頬はちょっと赤くて。
…その、僕に照れてくれてるのかな…とか、調子に乗っちゃいそうになるくらい。
「…今ならどう?榊。」
「へっ?い、今なら…って?」
「今なら、俺の初めて貰ってほしいって言っても
俺の事おかしいって突き放したりしない…?」
耳に触れそうな距離で発せられる柊君の声は
聞き慣れたそれよりずっと低くて掠れてて
色っぽくて、鼓膜が震える。
ぞくり、と今までに感じたことのない
うずく感覚。
熱が、身体の中心部に集まって
自分の身体なのに、自分じゃないみたいで怖い。
「い…いわな…ぃょ……。」
最後の方は、自分の耳にも届かないような消え入りそうな声になってしまって
だけど、そんな僕の声を…柊君はちゃんと聞き取ってくれて
「…午後から出なきゃいけない授業ある?」
「……今日だけ、なら…出なくても大丈夫かなぁ…。」
教室で授業を受けなきゃいけないのなんて当たり前で
授業をさぼるとか、行かないとかは考えられない。
でも、柊君と一緒に居られる時間を自ら手放すのは
もっともっと考えられない。
「抱いていいよ、とかさ。…もう俺そんな余裕ぶった事言えねえや。
…榊……俺の事、抱いてくれる…?」
僕の方が小さいのに、柊君は僕を覗き込むように
背中をまげて首を傾げた。
なんていうか…、こんなに
心臓うるさいの初めてだ。
壊れるのかな、僕。
「………は、ぃ…っ。」
ふわりと柊君の香りが鼻をかすめた。
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