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第二章「発情の香り」《2》
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「ヒートの間は、俺と実技練習だな」
「え?」
食事が終わると、イツキは半ば強引にリトと連絡先を交換して帰って行った。
βであるイツキがいなくなって気が抜けたのか、再びベッドに横になっているリトに言うと、その目が大きく見開かれた。
顔だけをこちらに向けて、固まっているリトを椅子の背にもたれながら眺める。
「ヒート中はどうせ出勤できないし」
リトはどこか俺といるのを気まずそうにしながら、おずぞずとベッドの上に座ってこちらを見た。
「発情してるときは感度もいい。フェラやらキスやら練習するのに都合がいいだろ。お前はもっと与えられる快感に慣れた方がいい」
俺の提案にリトは顔を真っ赤にしながら、「そ、そういうもん…?」と何とも言えない顔をした。
「それに……明日から俺もしばらく休まざるを得ないからな。ちょうどいい」
前々から今日の夜に予約が入っている客を思い浮かべながら、どっと気が重くなるのを感じる。
「な、何かあるんですか!」
気まずい空気をどうにかしたかったのか、ぎこちない笑みを浮かべてそう聞いてくるリトに冷たい視線を送った。
「お前には関係ない」
途端に「す、すみません……」と萎縮するリトに思わずため息を吐く。
「お前……なんでこんなとこ来たんだ?」
「え……」
寝ている間に顔に貼っていた絆創膏が剥がれ、痛々しい傷が姿を見せている。
「それ、ここで客にやられたのか?」
そう言うと、リトは言いづらそうに苦笑して頬をかいた。
「えっと……そう、です。でも、俺殴られるのとか、蹴られるのとかは慣れてるんで大丈夫ですッ!」
取り繕うように笑う姿に、僅かに苛立ちが募る。
「なんで殴られた?」
そう聞くと、リトはまた「えっと…」と口ごもる。
「俺のふぇらが下手くそだったから……です」
そう言ってまた苦笑するリトに腹が立った。
「なら、やって見せてみろ」
組んでいた足を床に下ろし、足を広げてドカッと椅子に座り直す。
「え」
一瞬の間のあと、ぶわっと赤くなるリトを「早くしろ」と急かした。リトは泣きそうな顔をすると、小さく首を横に振る。
「そ、そんなことッ…む、むりです……」
「は?」
「ひッ……!」
ベッドの上で縮こまるリトを睨みつけると、肩をビクつかせ小さく悲鳴をあげた。無言のまま指で足元に来るように促せば、逃げられないと悟ったのか、おずおずとベッドから降りてきた。
こんな態度じゃ、客に舐められるに決まってる。
「ぅ……で、できないです」
椅子に座る俺の前に膝をつかせる。尚も逃げようとするリトの後頭部を掴み、グッと手前に無理やり引き寄せた。俺の下腹部に鼻がつきそうな距離になって、リトが唇を噛み締める。
「まずは、ベルトを外す」
そのまま冷たく言うと、リトは俺の顔を見上げて怯んだ顔をした。しかし、逆らえないと悟ったのか、覚悟を決めたように恐る恐るベルトに手をかけ始める。
もたもたとリトがベルトのバックルを外すのを見下ろしながら、ここに来てからの数日をどうやって乗り切ってきたのかと疑問に思う。
不意にイツキが『サンドバッグ状態』と言っていたのを思い出し、一方的に客にしゃぶらされていたのかと納得した。
ようやくベルトを外し終えたリトが、ズボンのボタンを手で外そうとするのを止める。
「そこからは口で。もう手は使うな」
「ぅ……」
リトはまた俺の顔を見上げると、一瞬顔を歪めてから、ゆっくりとズボンのボタンに唇を近づけた。
ベルトを手で外す時よりも多くの時間をかけて、リトがズボンのチャックを下ろすのを待った。
俺の顔をうかがうように見上げてくる視線に「舐めろ」と冷たく言い放つ。
リトは眉間にシワをグッと寄せ、恐る恐る下着の上から舌を這わせ始めた。
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