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第三章「痛みの香り」《3》
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二十時。
食事を終えた足で男情館へと戻ってきた。あれから何杯もグラスを空にしたアオさんは、それでもお酒など一滴も飲んでいないかのように平然としている。
車のドアを秘書の男が開け、先に降りたアオさんのあとに続いて車を降りた。
当然誰もいない玄関ホールを抜けて、三人でエレベーターに乗り込む。絨毯が一面に敷かれた廊下を少し歩けば、細かな装飾に彩られた扉が現れた。秘書の男がその扉を開けるのを待って、部屋の中へと足を踏み入れる。
他の客室とは全く異なる上質な家具や備品。ほとんど必要のない広々としたリビングを抜ければ、すぐにメインとなる寝室の扉が見える。
アオさんは使い慣れた様子で、先に中へと入って行った。
寝室には、キングサイズのベッドとその隣に引き出しのついた棚が置かれている。棚の中には行為に必要なものから、特殊な道具まで何でも揃っている。アオさんが来る度に勝手に揃えたと言ってもいい。
ベッドから少し離れた壁側には、一人がけのソファが二つ、丸いテーブルを挟んで向かい合うように置かれており、その奥にはシャワー室がある。
秘書の男は寝室へ足を踏み入れると、当たり前のように入口の扉近くに姿勢を正して立った。
感情の読めない表情に何とも言えない不気味さを感じながら、棚を物色しているアオさんがベッドに腰を降ろすのを待つ。
しばらくするとアオさんがようやくベッドに腰かけ、その青い瞳に引き寄せられるように近づいた。
アオさんの前に立ち、こちらをニヤニヤと見上げてくる顔を見下ろす。すぐに自然な動作で手を取られ、手の甲に軽く口付けられた。
特に抗うでもなくされるがままになっていると、アオさんの手が俺の腰を掴み、その細さを確かめるように無遠慮に撫で始めた。
バクバクと心臓が早くなるのを感じる。
ベストの隙間から手を入れられ、シャツ越しに身体をまさぐられる。
やがて慣れた手つきで腰のベルトをするりと引き抜かれ、尻を撫でられながらズボンを下ろされた。同時に上の服も脱がされ、首輪とシャツと靴下だけが残る。
座っているアオさんの顔が、鳩尾付近に吸い付いて赤く痕を残した。
吸われるたびにピリッとした痛みが走り、これから更に与えられるであろう痛みを想像して心臓が苦しくなる。
それを悟られないように、目の前のさらさらとした髪に指を絡め、アオさんが痕をつけ終わるのを大人しく待った。
何度も鈍い痛みが走り、肌が色づいていく。アオさんが肌から顔を離したのを確認してから、ゆっくりとしゃがんで床に膝をついた。顔を見上げると、笑みを浮かべたアオさんの唇が口元に向かって降りてくる。
同時に、俺よりも一回り大きい手のひらに顎を掴まれた。グイッと更に上を向かされ、口の中をアオさんの舌が無遠慮に犯し始める。
口内を味わい尽くすように隅々まで舐められ、飲み込み損ねた唾液が顎を伝っていく感覚に黙って目を閉じた。
無理やり舌を吸い出され、嫌な予感を覚えながらも素直に舌を前に出せば、躊躇いなく歯を立てられる。
「ッ……」
ガリッという振動と共に口の中に広がる血の味と、舌先の痺れるような痛み。傷を広げるようにぐちゅりと舌を絡められ、思わず顔を歪めた。
拒絶を示すように、控えめにアオさんの身体を押す。けれど、そんなことで止めてくれるはずもなく、好き勝手に口の中を痛ぶられ続けた。
「んッ…ァ…、んぅ…」
どれくらいそうされていたか、ようやく満足したらしいアオさんに手を離され、すぐに顔をうつむかせる。掴まれていた顎と噛まれた舌先に残る痛みに、顔をしかめながら荒く息を吐いた。
何度も繰り返されてきた習慣のような前戯。だからこそ、俺がこれからフェラをするのをわかっていて、舌を噛んでくることに腹が立つ。苛立ちを感じながらも、それを悟られないようにさっさとアオさんのベルトに手をかけた。
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