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episode1. 一日三秋
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「いやー、久しぶりだね。最後にあったのいつ?」
「確か高校が最後じゃないか。」
仕事を終えて駅までのアーケードを歩いていると不意に名前を呼ばれた。声のする方へ振り向くと白衣を着た男が立っていた。
「あんなに仲良かったのにさ、お前誰?はひどくない?」
「こんな大通りで白衣着た知らない奴に名前呼ばれたら不審に感じるだろ。」
「知らない奴とは失礼な。まあでも、今日はアキラに会えたからいい日だなー。」
るんるんと効果音が出そうなほど上機嫌で隣を歩く彼は、高校時代の友人のヨリヒト。
「今何してんの?」
「見ての通り普通のサラリーマンだよ。」
「へえー、アキラっぽいなあ〜!」
「バカにしてんだろ。」
ふふっ、と指先を口元に持ってきて笑う。
おおよそアラサーの男とは思えない言動に、思わずため息が溢れた。
しかしヨリヒトは高校の頃から何ら変わっていなかった。まだ学生と言っても誤魔化せそうな風貌に少しの驚きを感じながらも話を続ける。
「ヨリヒトは?こんなド平日の夕方に白衣なんて着て。
どうせまた変なことやってんだろ。」
「ふっふーん。よくぞ聞いてくれました。」
腕を組んで踏ん反り返る。
得意げに指で鼻を擦ってから間を置くと「研究員でーす!」とアーケード内に響き渡るくらいの大声を上げた。
「ちょっ、声がでけえよ!」
「すごい?すごいでしょー。」
周りの人が不思議そうな目で俺たちを見つめる。
ああもう、こいつといるとろくなことがない。
額に手を当てて、大きく息を吐いた。
「……研究員て?何の?」
「何の?特に決まってないよ。毎日俺が気になったのを研究してるだけ。」
「はあ?」
さっぱり分からなくて思わず素の声が出る。
「……と、言うとなんだ。ぷーか?」
ヨリヒトのことだ。恐らく大学卒業後のテンプレ道は歩んでいないはず。俺は一気にこいつの事が心配になった。
「ぷー太郎?いやいや、ちゃんとお金もらってるから。」
ヨリヒトはとんとん、と胸を叩く。
「まあ研究っていってもね、色々やってるからとりあえず見てもらった方が分かりやすいと思うんだー。丁度近くにあるからさ、見てってよ。久しぶりに話たいし。」
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