アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
. 諮問
-
「じゃあ行ってくるから。何かあったらこの番号に電話して。20時には帰るよ。」
「わか、った。」
手を振って見送ってくれるキョウヘイに、「いってきます。」と言って仕事へ向かった。正直不安な気持ちが大きいが、高校生だし大丈夫だよな。と言い聞かせて足を早めた。
「おい!ヨリヒト!いるんだろ!開けろ!!」
仕事が終わってから真っ先にあの薄暗いビルに向かった。
あの野郎。あれから一言も連絡よこさないなんて。
ダンダンダン!と鉄製の扉を思い切り叩く。
近所迷惑もいいところだろうなと思ったが、そんなのお構いなしだ。
電話しながら扉を叩き続けるが、向こう側からは何も反応は返ってこない。
くそ、留守か……。
メッセージの既読はついてるのに、あいつ。
チッ、と舌打ちをして、その場にしゃがみ込む。
仕方ない、ここで待つか。
今にも切れそうな蛍光灯の電気を眺めていると、カツ、カツ、と階段を上がる音が聞こえてきた。
ヨリヒトか?
人影が見えたので俺も立ち上がると、現れたのは黒いスーツを着た長身の男だった。
俺より広い肩幅、身体に合ったスーツのジャケットから覗くシャツの袖には、鮮やかな緑色の石がついたカフスが身につけられている。
ネクタイにはピンが留められており、胸ポケットからは三角に折られたハンカチーフが覗く。
何で金持ちがこんなビルに。
服装と場所が似つかわなさすぎる男をまじまじと見つめていると、軽く会釈をされる。
俺もつられて頭を下げると彼は「失礼。」と言ってドアの前に立った。
キーパッドを指先で軽く叩き扉を開けると「ヨリヒト、入りますよ。」と言って部屋に入っていった。
「貴方もここに御用が?宜しければ内容を伺いましょうか。」
彼は部屋に入る途中、俺に問いかける。
「昨日連絡したアキラだ。って伝えてもらえますか。」
「アキラ……、ああ。アキラさんですね。どうぞお入りください。」
彼は少し考えた後、俺を中へと迎え入れる。
俺、こんな奴と知り合いになった覚えはないんだけど…。と思いながら、彼に言われるまま足を踏み入れた。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
7 / 52