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〔 彼方 side 〕
順番にお風呂に入って 、 あとは寝るだけになった 。
凛は相も変わらず色気がやばくて 、 俺は直視ができずに俯いたまま 。
ヤることはヤったのに 、 恥ずかしくて仕方ない 。
そんな俺に気付きもしない本人は 、 読みかけの小説に手を伸ばして栞を取った 。
やっぱりドライだ 。
そろそろ眠くなってきたし 、 ベッド行かないのかな 。
明日は朝早いからいっぱい寝とかなきゃ 。
「 み …… 凛 、 俺もう眠たい 。 」
俺の精一杯の甘え文句 。
こう言えば少しは俺の方に興味を持つかもしれない 。
一緒に寝てくれるかもしれない 。
と思ったけど 、 凛は小説に目を向けたまま微動だにしない 。 俺の事なんて気にしてないみたいだ 。
なんだこの男 、 めちゃくちゃ腹立つ!
「 ふん 、 いいもんね 。 一人で寝るし!! 」
全く相手にされない 。
腹を立ててわざと足音を響かせながら寝室に向かった 。 別にいい 、 俺一人でも寝れる 。
あんな奴 、 もう知らない 。
布団にくるまって 、 壁の方を向いた 。
一人でこのでっかいベッド独占してやる 。
とは思っても一人のベッドは広くて寒いし 、 不安と寂しさが混ざる 。
なんで素直に一緒に寝よって言えないんだろう。
下手くそに甘えて応えてくれなかったら一人で拗ねて 。
俺って超めんどくさい 。
分かってはいるのに 、 凛に甘えてる自分が腹立たしい 。
目頭が熱くなる 。
泣いたらそれこそ面倒だって言われるのに 、 目の縁には涙が溜まっていく 。 泣くな 、 泣いたら嫌われる 。
ここでバレなかったとしても明日になれば目が腫れてることに気付いて 、 きっと言われる 。
そんなのは嫌だ 。
だけど俺の涙腺は急に締まってくれなくて 、 ついに涙がポロッと溢れた 。 そこからは涙を止めることもできずに 、 シーツへシミを作っていく 。
鼻を啜る音が寝室に響く 。
と同時に 、 ドアが開いた 。 俺は呼吸を殺して 、 凛からの言葉を待つ 。
きっと泣いていることには気付いてないはずだ 。
凛 : 「 …… おい 、 寝てんの 。 」
いつもの凛 。
表情もいつも通りで 、 一人で拗ねてる面倒な俺を見下ろしてるんだ 。
すぐ後ろに凛の気配を感じる 。
俺が何も答えないことを寝ていると思ったらしい凛は 、 同じ布団に入ってきた 。
昨日は凛が壁際で寝てたから 、 右側に居ると少し違和感 。
そのまま凛は後ろから俺を抱きしめて 、 足を絡ませた 。
突然の行動に心臓はバクバクだ 。
どうしよう 、 すごく嬉しい 。
きっと自分の気まぐれでくっ付いてきたんだろうけど 、 それでも俺のためかもしれないと淡い期待を抱いてしまった 。
凛 : 「 お前 、 起きてるだろ 。 心臓うるせぇ 。 」
甘々な時間は終了 。
声をかけられた俺は大人しく振り向いて 、 視線をうろつかせた 。
泣いたことバレてないよな 、 電気ついてないし 。
凛 : 「 …… 一緒に寝るんだろ 、 そっぽ向いてないで抱きついて来いよ 。 」
「 でも 。 宮原 、 小説読んでたし 。 」
凛 : 「 凛 、 な 。 」
「 り 、 凛!邪魔しちゃ悪いと思ったんだけど … 一人で拗ねて 、 ごめん 。 」
抱きついて来いと言われたなら遠慮はしない 。
凛の胸元にぺとっとくっ付いて 、 小さくごめんと呟いた 。
あぁ 、 俺の好きな匂いだ 。
体温は少し低いけど 、 トクトク揺れる心臓が心地いい 。
凛 : 「 … いや 、 俺も悪かった 。 お前がいるのに他のことに夢中になるとか 、 普通に気分悪いだろうし 。 」
「 んん 、 もういい 。 」
凛 : 「 は? 」
「 今 、 ここに凛がいるから 。 それでいい 。 」
もう満足なんだ 。
特別なことなんて望んでない 。 ただ一緒に寝たり 、 同じ空間に居ることができればそれでいい 。
ちっぽけな事だけど 、 俺にとってはそれが一番の幸せ 。
凛 : 「 … 俺 、 お前のそういう素直なところ好き 。 」
「 俺も 、 凛のこと好き 。 」
凛 : 「 知っとるわボケ 。 」
絶対に俺を好きとは言わないけど 。
相変わらず冷たくて無表情なやつだけど 。
それでも俺は 、 この温もりと匂いさえあれば幸せだ 。
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