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恋人
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〔 彼方 side 〕
二人で泣いた後は 、 お腹が空いたからと出前を取った 。
凛が好きなピザと 、 俺が好きなチキン 。
出前を待つ間に凛から鞄を受け取って 、 スマホに溜まっていたメッセージを返した 。
さとちゃんと龍ちゃんには謝罪の言葉と 、 仲直りした報告 。 明日のお昼ご飯を奢るついでに話を聞いてもらう事になった 。
凛も行きたいらしく 、 無言で見つめてきた 。
一緒に行こうねと笑いかけると 、 微妙に口端を釣り上げて笑う 。
「 …… 凛 、 そんなに見つめられると照れる 。 」
凛 : 「 うん 。 」
「 いや 、 うんじゃなくて … 。 」
二人に連絡する俺の隣で 、 凛は人が変わったようにじっと座って俺を見つめる 。 何だか変な感じだ 。
ここまで素直になられると 、 俺自身もどうしていいか分からない 。
悪い気はしないけど 、 すごく擽ったい 。
そっと手を伸ばすと 、 俺の手を握って応えてくれた 。
凛 : 「 お前のこと好きだって自覚すると 、 触りたい欲がすげぇ出る 。 」
「 な 、 なに言ってんだよ 。 」
馬鹿だな 、 って笑うと更に見つめてくるから 、 俺は何も言えずに黙った 。
新たな凛の一面に戸惑いも嬉しさもある 。
出前が届くまでは何もせず二人でテレビを見ていた 。
可愛い動物の特集だったり 、 今日の天気だったり 。
たまに美味しそうな映像が流れて 、 お腹空いたね〜って笑いあった 。
ピンポーン
チャイムに素早く反応した俺は 、 すぐに財布を持って玄関に向かった 。 いつも凛がお金を払うから 、 今日こそは!!
「 は〜い! 」
店員 : 「 あ 、 お待たせしました〜 。 こちら 、 ご注文のマルゲリータピザとたっぷりチーズピザ 、 チキンバスケットです 。 」
「 わ 、 ありがとうございます!えっと 、 お金は … 。 」
店員 : 「 合計で二千円で … 、 」
先に商品だけ受け取って財布からお金を出して渡そうとすると 、 店員さんは固まってしまったらしく受け取ろうとしない 。 視線は俺よりずれた 、 右側 。
真後ろを振り向くと 、 敵対心マックスに顔を歪めた男が 。
凛は俺の財布を奪ってから自分の財布を取り出し 、 お金を店員へと手渡した 。
それが気に入らなくて 、 待ってと手を伸ばす 。
店員 : 「 ちょ 、 ちょうど頂きます … 」
凛 : 「 ご苦労さま 。 」
しかしその手を凛にぎゅっと握られてしまい 、 引き止めることは出来ない 。
店員さんは気まずさに苦笑いを浮かべて 、 去っていった 。
静かに閉まる扉 。
相変わらず俺にお金を出させてくれない凛を睨み上げると 、 無表情が返ってきた 。
それから袋を持ってリビングへと向かう 。
その後ろ姿を見て 、 呆れてしまう俺 。
きっと何年経っても凛は俺にお金は出させてくれない 。 でも 、 凛が好きでやってる事ならありがとうって笑っていればいいか 。
これも 、 恋人への甘えだろうから 。
お互いに受け入れていかなきゃ 、 またすれ違ったりするのは嫌だ 。
「 凛 、 」
ありがとうの気持ちを込めて凛の背中に抱きつくと 、 照れたらしいこの男は耳を赤く染めた 。
イケメンだけど 、 可愛いくもある男 。
それが 、 俺の恋人 。
二人で並んで食べるピザはすごく美味しくて 、 いつものように大口を開けて食べる俺を 、 凛はずっと楽しそうに見守ってくれていた 。
あれも食べろこれも食べろと 、 まるで父親のようだ 。
「 もう食べないのか? 」
凛 : 「 お前が食ってると腹いっぱいになる 。 」
「 何で?? 」
凛 : 「 お前がめっちゃ食うから 。 ほら 、 ソース付いてる 。 」
口端に付いていたらしいソースまで拭いてくれる 。
これじゃ介護されてるおじいちゃんだ 。
少しムッとして凛の口元にピザを持っていった 。
「 あ 、 あ〜ん … 」
凛 : 「 …… なに可愛いことしてんの 。 」
どんな怒り方?
俺の手首を固定して 、 黙々とピザを食べ進める凛 。 その綺麗な唇が動く様を 、 俺はじっと見つめた 。
綺麗にピザを食べると 、 俺の指に残ったソースを舐め始めた 。
真っ赤な舌がチラっと覗いて 、 俺は目線を外せない 。
羞恥に震える俺を見上げた凛は 、 それはそれは楽しそうな表情を浮かべる 。
それから 、 何も付いていない指にまで舌を這わせていく 。
「 り 、 凛! 」
俺は耐えきれずに 、 手を引き抜こうと力を入れた 。
しかし俺より力の強い凛に勝てるはずもない 。 抵抗するだけ無駄だ 。
満足した凛は俺の人差し指の先端をかじって 、 手の拘束を解く 。
最後に自分の口端をペロッと舐めて 、 目の前の男は綺麗に微笑んだ 。
凛 : 「 ご馳走様 。 」
欲求不満なのか知らないけど 、 こんなの狡い!
余裕たっぷりな笑みにイラッとした俺は 、 凛の襟を掴んで引き寄せ 、 弧を描く唇に自分のそれを押し付ける 。
色気もないキスだけど 、 この男にはこれで十分だ 。
「 …… ちゃんと 、 キスしろよばか 。 」
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