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噂
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〔 彼方 side 〕
俺はいま 、 目の前で腕を組むさとちゃんに説教をされている 。 隣に座る龍ちゃんは相変わらずニコニコしてるけど 。
まるで両親のような二人 。
いつもなら笑えるのに 、 今回は笑えない 。
悟 : 「 まったく 、 お前らバカップルは迷惑かけやがって 。 俺がどんだけ心配したと思ってんだよ 。 」
「 ご 、 ごめんなさい …… 。 」
大人しく頭を下げると 、 小さなため息が聞こえた 。
龍 : 「 まぁまぁ 、 今回は彼方だけが悪いわけじゃないし 。 他に責めるべき相手はいるでしょ? 」
凛 : 「 ……………… 。 」
「 り 、 凛は悪くない! 」
ここで凛を責めるのは違う 。
俺だけが悪いわけでも 、 凛だけが悪いわけでもないんだ 。 今回はお互いにすれ違っただけで 。
だから責めないでくれ 、 と龍ちゃんを見つめる 。
龍 : 「 …だって 、 どうする? 」
悟 : 「 宮原 、 俺は彼方のことをずっと見てきた 。 両親から愛されずに育ってきたこいつを 、 親友としてずっと愛してきたんだ 。 」
凛 : 「 …… 。 」
龍 : 「 彼方は泣かないから 、 強い子だと思ってるんじゃない? 」
悟 : 「 こいつは弱い時だからこそ泣かない 。 自分がボロボロになっても 、 相手のために泣くやつなんだ 。 」
龍 : 「 ちゃんと 、 彼方と向き合ってあげてね 。 」
凛 : 「 …… 分かってる 。 もうあんな思いはさせない 。 」
悟 : 「 … 彼方を泣かせるようなことがあったら 、 ぶん殴るからな 。 」
凛 : 「 セコムかよ 。 」
俺は目の前で繰り広げられる会話に 、 全くついていけなかった 。 凛を怒るなと言ったばかりなのに 。
龍ちゃんもさとちゃんも 、 嘘つきだ 。
でも俺を思っての言葉だと分かっているから 、 視線を上げられない 。
俺が凛を二人に紹介した 、 いつかのファミレス 。
あの日はドリアを頼んで 、 半分こしたな 。 ほとんど一人で食べたのに 、 凛はお金を出してくれて 。
あの時はノリで付き合ってたのに 、 ちゃんと俺のことを恋人扱いしてくれていた 。
上辺だけのお付き合いでも 、 凛は優しかった 。
今はドロドロになるぐらい甘いし優しいけど 。
龍 : 「 彼方が一人でニヤけてる 。 どうしたの? 」
「 ん〜ん 、 凛のこと考えてた 。 」
凛 : 「 ……… ゲホ 、 」
隣で咳き込む凛に紙ナプキンを渡してやると 、 軽く睨まれた 。
なんで??
悟 : 「 イチャつくなら他所でやれ 。 」
凛 : 「 お前さぁ … 時と場所を考えろって 。 昨日の羞恥心はどこ行ったんだよ 。 」
「 あ 、 あれは凛が言えって … 。 」
凛 : 「 煽ってきたのは誰だっけ? 」
「 ………… 俺 。 」
たしかに俺が煽ったけどさぁ 。
勝手に興奮したのも俺だけどさぁ 。
でも 、 凛だってノリノリだったし 。
煽られたのは凛だし 、 俺は悪くないじゃん 。
こんなの言いがかりじゃん 。
「 でも 、 凛だって恥ずかしいこと言ってきたし 。 」
凛 : 「 … 分かったよ 、 俺が悪かった 。 」
「 また逃げるのか?俺のこと面倒だって思ってるんだろ 。 」
凛 : 「 ばか 、 こいつらの視線が突き刺さってんだよ 。 」
こいつらと言って指さしたのは 、 龍ちゃんとさとちゃん 。 一人はニコニコだけど 、 一人は呆れとうんざりって顔 。
また怒られる前に大人しくドリアをつついた 。
また俺が悪いみたいになってるじゃんか 。
なんだよ 、 凛はあれだけ好き勝手しといて 。
ただの照れ隠しなんだろうけど 、 俺にも言わせろよな 。
凛のお金でドリアとハンバーグ 、 抹茶パフェを食べた俺はさっきまでの怒りも忘れて 、 ルンルン気分だ 。
後ろから単純だなんだって会話も聞こえたけど 、 そんなのどうってことない 。
今の俺は無敵さ 。
空も飛べるし瞬間移動もできる 。
そんな気分 。
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