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〔 彼方 side 〕
あれ 、 とみんなで首を傾げた 。
いつもは静かなはずの部屋が 、 今日はすごく騒がしい 。 なんか面白いことでもしてるのかな 。
出入り口に固まる顔見知りに声をかけようとするけど 、 俺の顔を見るとすぐにどこかへ行ってしまった 。
あれ 、 俺のことだと思ってなかった?
「 なぁなぁ 、 どうした … え 、? 」
部屋の中に入ると 、 林さんが泣き崩れていた 。
服も髪も昨日のように整えられているけど 、 顔は涙で濡れている 。
メイクが崩れるんじゃないかと 、 不安になった 。
俺が声をかけていいのだろうか 。
昨日のことがあったから 、 下手なこともできない 。
悟 : 「 おいおい 、 なんでうちのマドンナが泣き崩れてんだよ 。 」
龍 : 「 喧嘩したの? 」
俺より前に出たさとちゃんと龍ちゃんが部屋の中に声をかけた 。 多分 、 気を遣って 。
凛は涼しい顔してなにも喋らない 。
きっと 、 面倒なやつだなって心の中でボロくそ罵倒してると思う 。
親友の声に反応したみんなは 、 俺を指さしてゲラゲラ笑う 。
男 : 「 おいおい 、 ホモ野郎が来たぞ 。 」
男 : 「 誰でもいいから 、 あいつにキスしてこいよ! 」
男 : 「 辞めとけよ 、 ホモが伝染るだろ! 」
子供みたいなことして … 楽しいのかな 。
林さんが昨日のことを泣きながら話したんだろうな 。
俺だけを標的にする理由は 、 林さんがまだ凛を好きだから 。 だと思う 。
それは痛くも痒くもないからいいけど 。
悟 : 「 …… なに言ってんだよ 。 」
男 : 「 そいつ 、 林さんの彼氏を寝取ったんだよ 。 」
男 : 「 最低だよな〜 。 」
龍 : 「 待って 、 みんなそれ本気にしてるの? 」
俺はただ突っ立ってるだけだった 。
傷ついてもないし 、 べつにどうでもいい 。
俺のことで盛り上がれるなら 、 おめでたい頭だねって 。 ただそれだけ 。
いちいち気にしてるのも時間の無駄だもんね 。
「 さとちゃんも龍ちゃんも 、 べつにいいって 。 」
悟 : 「 はぁ!?いいわけないだろ 、 お前も言い返せよ! 」
「 え〜 …… 言い返す暇があるなら今日の夜ご飯のこと考えてたい 。 」
龍 : 「 ……… うん 、 彼方は強いね 。 」
強がってるわけじゃないんだけど …… 。
二人が騒がなくてもいい問題だし 、 どうせこんな噂はすぐ薄れてく 。
だから大丈夫だよ 、 と笑顔を見せるとしぶしぶだけど頷いてくれた 。
凛 : 「 なんかあったらすぐ言えよ 。 迷惑になるとか考えんな 、 分かった? 」
「 ん 。 ありがとう 、 心強い 。 」
凛 : 「 それと 。 」
席に座った俺に見せたのは 、 メール 。
林さんとのやり取りらしい 。
『 彼方くんに何かあったら困るでしょ?
それが嫌なら 、 私と付き合って 。
もし断ったりしたら彼方くんのこと襲わせるから 。 』
漫画にありそうな 、 テンプレ 。
襲わせるってなんだそれ 。
男だし妊娠する恐れもないから 、 どうぞ勝手にって感じだけど 。
難しい表情の凛に 、 俺は首を傾げた 。
凛 : 「 …… お前 、 別れるとか言うなよ? 」
「 ばか 、 言うわけないだろ 。 それに 、 こっちの台詞なんだけど 。 」
凛 : 「 言わねぇよ 。 俺 、 お前と別れたら死ぬから 。 」
「 … それはちょっと怖い 。 」
なにこの人 、 怖い 。
でもそれだけ俺を好いてくれてるって考えたら 、 すごく嬉しい 。
まぁ俺も凛と別れたらどうなるか分かんないけど 。
龍ちゃんとさとちゃんは俺が落ち込んでないか気になるみたいで 、 チラチラ視線を向けてくる 。
なんか可愛いなぁ 、 って思ったけど 、 言ったら怒られるからやめた 。
林さんが部屋を出るとき 、 ほんとに一瞬だけど目が合った 。 覚悟しとけって言いたかったんだろうな 。
いつもの可愛い顔じゃなく 、 般若だった 。
しばらくは一人になるなって約束をした 。
誰かが隣にいない時は一人で勝手な行動をしないこと 。
これはさとちゃんと凛からの提案 。
龍ちゃんは俺のそばにいる前提だったらしい 。
みんなが俺のためにって色々と考えてくれていたことが嬉しくて 、 久しぶりに号泣しそうだった 。
だけど凛の家にずっと泊まれることは嬉しいから 、 ずっと満面の笑みでいられたんだ 。
みんながいれば噂なんて怖くない!
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